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平成17年 6月 6日地方自治の推進に関する調査特別委員会−06月06日-01号
平成17年第 1回(閉会中)議会運営委員会−06月06日-01号
平成17年第 1回(閉会中)議会運営委員会−06月06日-01号
平成17年 6月 6日地方自治の推進に関する調査特別委員会−06月06日-01号

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  1. 熊本市議会 2005-06-06
    平成17年 6月 6日地方自治の推進に関する調査特別委員会−06月06日-01号


    取得元: 熊本市議会公式サイト
    最終取得日: 2022-11-22
    平成17年 6月 6日地方自治の推進に関する調査特別委員会−06月06日-01号平成17年 6月 6日地方自治の推進に関する調査特別委員会              地方自治の推進に関する               調査特別委員会会議録 開催年月日   平成17年6月6日(月) 開催場所    特別委員会室 出席委員    13名         紫 垣 正 良 委員長    鈴 木   弘 副委員長         大 石 浩 文 委員     齊 藤   聰 委員         上 野 美恵子 委員     下 川   寛 委員         佐々木 俊 和 委員     田 辺 正 信 委員         竹 原 孝 昭 委員     落 水 清 弘 委員         田 尻 清 輝 委員     嶋 田 幾 雄 委員         磯 道 文 徳 委員 協議・報告事項   地方自治推進のあり方について                            午後 1時31分 開会
    紫垣正良 委員長  ただいまから地方自治の推進に関する調査特別委員会を開きます。  本日は、参考人として九州大学大学院法学研究院木佐茂男教授の御出席をいただいております。  木佐参考人は、お手元に配付しておりますプロフィールにもありますように、自治基本条例に関する関心が、全国的に高まる契機となった、先駆的な条例と位置づけられております北海道ニセコ町の「まちづくり基本条例」の起草に当たられた方でございまして、本日は、「地方自治推進のあり方」について御意見をいただくわけでございます。  木佐参考人におかれましては、お忙しい中にもかかわらず、本委員会のために御出席いただきまことにありがとうございます。委員会を代表しまして心からの感謝の意を表しますとともに、忌憚のない御意見をお述べくださるようお願いする次第であります。  なお、本日は、委員席の配置、使用するカメラ等を通常のものから変更しておりますが、これは、特例的な措置でございまして、今後の例とするものではございませんので、念のために申し添えます。  それでは、本日の調査審議の順序について申し上げます。  まず、木佐参考人に「地方自治推進のあり方」について御意見を述べていただき、次に各委員から、木佐参考人に対する質疑を行うということにいたしますので、よろしくお願い申し上げます。  それでは、木佐参考人の御発言をお願いいたします。 ◎木佐茂男 参考人  本日は、こういう大変重要な委員会にお招きいただきまして、大変光栄に思っております。これから約1時間程度で画像を120〜130枚を急ぎで使いまして、私がこの間考えております自治基本条例、あるいはより広いテーマでありますこの地方自治推進のための仕組みについて私見をお話しさせていただきまして、あとはまたフリーディスカッションの中でお話を承り、また私見を述べさせていただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、会場をちょっと暗くしていただきまして、少し見やすい方がよろしいかと思います。一番端の方は、大変お気の毒ですが、見やすいところに移動なさってくださってもよろしいかと思います。きょうのテーマは、いただきましたタイトルが「地方自治推進のあり方」ということでございますが、私が勝手につけましたのが、「自治基本条例まちづくり基本条例とは何か」というタイトルでございます。  なぜ、自治基本条例が要るのかということについて、きょうはその「要るのか」から「どうしてつくるのか」ということまで含めてお話をさせていただきたいと思っております。このデータをちょっと見ていただきますと、ニセコ町で自治基本条例が施行されましたのが、後で申し上げますけれども、2001年4月1日でございます。2001年4月1日のころには、インターネットで検索いたしましても、ほんの数十件しかヒットしない状態でありましたが、昨晩といいますか、けさ3時ごろに最終確認をいたしましたところ、自治基本条例では1万6,000件、まちづくり基本条例で5,000件もヒットするという、この急速なわずか2年の間に10倍程度に世の中の関心も広がっているということが、粗っぽいデータではありますが、わかるのではないかと。  逆に申しますと、もう見えなくなりました。この1万6,000件とか5,000件という数字の中から、本当に良質のデータを探すことが逆に難しくなってきたという感じがいたします。  実は冒頭に、大変マスコミの方には申しわけございませんが、私がきょうこちらに出頭いたしました理由の一つに、マスコミがあおっている間違った図式というのがあるのではないかというふうに考えております。固有名詞、ここは消してくるべきだったでしょうが、2社挙げた方がいいのでもう一つ挙げますけれども、実は議会と執行部が不毛な議論をしているとか、ただ反対のための反対をしているとか、そういうのが世上、ここ数年言われているように、私は承っておりますけれども、実はそうではないのじゃないかという感じがいたします。  一言だけあえて結論を申し上げますと、今回の自治基本条例、これは首長提案で議会に提出されたものでございます。  しかし、今の首長を支持して当選された立候補者であった議員の方々も何名かはいらっしゃるわけですが、その方々も今回の議案に対しては、反対されたということは、どう考えてみても内容的な面での意見の食い違いであって、単なる議会と首長という、その対立の構図で説明できるものではないだろうというふうに思います。  もちろん、そういう理事者側のやることは何でも憎しという方が中にはいらっしゃるかもしれません。しかし、それは私は存じ上げませんが、全体として申し上げれば、こういうマスコミ的な描写というのは、非常に私は調査不足、そして大変失礼ですけれども、きょうマスコミの幹部の方もあるいはいらっしゃるかもしれませんが、やはりデスクや幹部級の方の指示も不足でしょうけれども、現場の記者の勉強不足というのも大変大きなものがあるというふうに思います。もっと生でぶつかって、現場のいろいろな人の意見を聞けば、もっと立体的に浮かび上がってくることがあったはずです。  この間、2年もこの問題が議論されながら、大きな紙面が使われなかった。あるいは予算もそれなりにある新聞社でありながら、全国の調査にも行っていない。インターネットもどうも調べていない。こういうことはやはりマスコミがあおった結果として、私がこういうところに本日出頭せざるを得ないことの遠因もあるのではないかというふうに思っております。  そして、きょうは全く特例的に、私がパワーポイントを用いたいということで、このような特別の舞台設定をしていただきましたけれども、全国的に見ますと、インターネット中継というのは、これは私がお付き合いしてきた自治体だけをきょうは選んでおりますけれども、これは北海道の白老町というところですが、噴火湾の沿岸です。もう議会中継というのは当たり前。これは十勝平野の真ん中にある芽室町ですが、議会中継インターネットです。そして、私の出身地でございます、もう過疎地も過疎地、ど田舎ですけれども、この島根県議会ですら2年も前から高速インターネットで中継をしている。そして録画中継は3日後ぐらいからできるというのが普通であります。  そして熊本県議会ですらと言ったらいけませんね、熊本県議会も生中継、ライブが当然になっておりまして、数日後には録画でいつでもダウンロードして見れる、こういう状況になっております。  これは、まだ本会議のレベルでありますけれども、岩手県になりますと既に予算、決算特別委員会等もこうやって見られるわけでありまして、本来ならきょうのこのようなお話しの機会も全市民の方が、見たい方は見られるような状況をつくっていただきたかったというのが率直なところでございます。  これが、早い地域はケーブルテレビ、一歩おくれたところは、インターネットというふうになっておりまして、予算的には後の方が楽につくれるものですから、今後はこういうことも参考にしていただければと思っております。  そして、市町村の議会は、大変今活気のあるところが多いわけでありますけれども、どちらかというと、小さいところの方がよく頑張っています。しかし、都道府県の中で最も有名で最も開かれた議会というのは、三重県議会だろうと思います。  話ができないと当選しないという状況になりまして、今、三重県議会は4割の議員が新人1期目でございます。討論能力のない方はもう立候補する意欲を失うというところまで来ているのが三重県議会でございます。  以上、まず議会とマスコミの方にちょっとお願いごとをいたしました後、これから本論に入ります。  自治基本条例とかまちづくり基本条例、こういう現象は日本の特異現象であろうかということをちょっと考えなければいけないと思います。  私は、たまたまこういう立場に立ちましたけれども、今、日本で恐らく300から500ぐらいの市町村で、さらに最近は都道府県レベルもですが、まちづくり基本条例自治基本条例づくりというのが始まっております。なぜかそのニセコ町のこの基本条例というのがメートル法でいいますと、メートル、尺貫法でいえばその尺に当たる物差しになってしまって、そこからどれほど詳しいのかとか、どれほど簡略になっているかとか、何がニセコにないことが加わったのかという物差しになってしまったわけであります。  その物差しは下2行にありますように、どうしてつくられたのかということと、なぜ物差しになったのかということもぜひ参考にしていただければと思っております。  きょう冒頭に、後で他の自治体も若干触れますけれども、ごく最近、基本条例を施行したところをあえて極めて特徴的なところで私がお手伝いしたところだけ申し上げますと、伊賀市という自治体を聞いたことがないという方が多いと思います。実は去年6つの市町村が合併して去年の11月に新たに発足した市でございます。  そこで、施行日が去年のクリスマスの日、12月24日に制定され施行されましたのが伊賀市の自治基本条例でありますけれども、すごいことは、この6つの市町村が合併協議会の中で新しく町をつくるという以上は、町の憲法に当たるものをきちっとつくってスタートしたいという真摯な態度といいますか、姿勢でこのような大英断をされ、そしてこの6つの自治体がいわば協議を重ね、ここまで達した。  しかも、私がちょっとお手伝いをして三重県の県職員と三重県内市町村職員の研修をこの6、7年ずっと毎年1カ月あけて、合わせて4日間行っておりまして、その研修で2003年の初めですか、そのときにやった研修のとき、既にこの条例をこの地域にモデルとしてやってみたいということで、研修生の方が当時つくられたんです。それが52カ条当時ございましたが、実際に今回制定されたものがさらに詳しくなりまして、58条という大きな条文数で、私が今知る限り多分日本で一番詳しい自治基本条例であり、かつ一条も非常に長いものというふうに認識をしております。これは、今インターネット上、たしか見れるようになっていると思います。  大ざっぱに、きょうは細かいことはいいですので、自治基本条例がこういう枠組みで、とりわけ第4章というところに、今回の熊本市案にはございませんが、この住民、とりわけ小さな新たに9町村になるところ、それからそのまた小さな単位というような、一般的に言いますと、合併して疲弊してしまう小さな地域、周辺地域とも言うわけですが、そういう地域についての配慮などをきちっと住民自治の仕組みということで置いたという点にも特徴があると考えております。  そして、昨年、伊賀市では、市民参加条例というのを合併と同時につくっておりますが、それはこの基本条例ができた同時に廃止ということで、非常に法的にも対応が迅速であるということをおわかりいただけるかと思います。  同じ三重県は、三重県議会の非常に活発な議論の影響も受けまして、県内の議会も活性化しております。これは四日市市のことしの議会だよりの1月臨時増刊号でありますけれども、この三重県四日市市は、先般合併いたしました楠町というところと合併したのでありますが、私が例えば講演に行ったときも、常にその楠町の方も議員さんが一緒に勉強会に見えておりまして、それでこの特徴は、先日、大森彌教授からお聞きになったと思いますが、飯田市が議会だけで条例をつくっているというお話があったかと思いますけれども、実は飯田市は今つぶれています。現時点では3月議会で成立いたしませんでした。  しかし、四日市市の場合には、制定がかないまして、1月31日に無事議決されました。ただし、条文で申しますと、ここにありますように、全25条でございまして、内容的に言いますと、こちらの案よりは5カ条程度は少ないということですが、特徴はともかく議員だけでとにかく頑張ってつくったというところにありまして、講演にうかがった際も、議会事務局の方々の勉強ぶりも大変なものでありました。  現在、熊本市の場合は、できれば中核市の第1号にということでありますけれども、ひょっとするとひょっとして、1号になれない可能性があるというのは、三重県四日市市は合併しまして、ここが熊本市とちょっと違うわけでありますが、31万人になったんですね。そこで、中核市の資格が生まれまして、再来年4月1日に、これはおととい調べた状況ですが、再来年4月に一応中核市になるという予定で作業が進んでおります。  ですから、何カ月の差とか、1年の差ということになるかもしれませんけれども、中核市1号という争いが、ここで今起きているということになります。  これから、基本条例のことについて、さらにお話を深めてまいりたいと思っておりますけれども、ちょっと小さな字になってお読みづらいかもしれませんが、こういう記事がさまざまなインターネット上を飛び交っております。ピンクの字のところだけちょっと申し上げますと、多くの自治体、今、300とか500と申しましたけれども、多くの自治体で首長の指示で基本条例をつくるとか、市民参加条例をつくるという動きがございます。  ところが、担当者の方が実際に何をつくっていいかわからないとか、その条例づくりの意味をあるいは意義をよく理解できていないというケースもあると。そのままつくってしまいますと、下から3行目ですが、担当者もかわいそうだけれども、自治体の基本となる条例を首長のパフォーマンスでつくると、後の反動が怖いと、こういう議論がインターネット上は結構率直にされているケースもございます。  ここから、自治基本条例というのが、なぜ今私たちの国で話題になっているかということの御説明に入りたいと思いますけれども、そもそも今日本の法体系は、一番てっぺんに憲法がありまして、この憲法はもう最上位法ということで侵害はできないと、しかしながら、その下に、これはことし2月の数字でちょっと夕べも調べる時間がなくて、この4カ月のことをフォローしておりませんけれども、2月現在で言いますと、27の基本法がございます。一番有名なのは教育基本法です。これは昭和22年に憲法と双子で生まれました。  憲法に教育条項をたくさん入れたかったのですが、余り条文をふやすと憲法がふやけてしまうということで、教育基本法は、準憲法として制定されたという経緯がございます。この教育基本法が長く唯一基本法であったわけでありますが、その後、災害対策基本法とか、原子力基本法、そのような法律ができ、今有名なのが大体、環境とか、男女共同参画だろうと思いますけれども、こういう基本法が生まれました。よく考えていただきますと、この基本法というのと、この一番下にあります個別法というのは、法形式上は同じです。  法律第何号という番号がついているだけでありまして、法律学のイロハですけれども、後法は前法を破る、つまり後からできますと、環境で申しますと、環境基本法の後に、例えば土壌汚染とか、大気汚染防止だとか、水質汚濁とかいろいろな法律ができますと、後でできた方が優先するというのが普通の解釈です。  しかし、最近の日本では基本法というのがある以上、その基本法は、後からできる基本法にぶら下がった法律よりも内容的にも解釈上も尊重し、それに反することは基本的に許さないという一つの運用といいますか、そういう考え方がかなり固まってきております。そういう意味で、同じ法律第何号でしかないものですけれども、一たん基本法と名前がつきますと、一般的にはその他の個別法よりもより上位法的な精神で扱われていくということでございます。  唯一例外的な基本法として、災害対策基本法がございまして、普通は何々基本法というのは、国民の権利や自由とか、あるいは制限もしませんし責務も課したりはいたしません。ですから、26法の基本法は、たまに業界対策基本法というものもございます。観光関係とか、そういうものもありますが、今日20数件の基本法は理念的な法ですけれども、環境対策を例にいたしますと、環境行政全体の指針になると、こういう位置づけです。  同じことが、今、起きている自治基本条例あるいはまちづくり基本条例に当てはまっているわけでありまして、内容的に申しますと、この自治基本条例というのは、最近でこそ自治体の憲法というようになってきた。熊本県にも熊本市にも○○基本条例というのが幾つかあろうかと思いますが、この基本条例個別条例はくどいようですけれども、○○年の法、条例第何号という点では、形式的効力は同じなわけです。にもかかわらず、基本条例と書かれているそのことによって、あるいはその前文だとか、第1条の目的規定によって、それ以外の個別法をやはり運用上、解釈上支配をするという関係になっているわけでありまして、そこで、基本条例個別条例でもどちらかというと、優先関係優劣関係というのが今日生まれてきているわけなんですね。  その、もう一つ上に今、基本条例というのがつくられつつあるわけで、これがそのあえて我が町の憲法と言われるわけでありますけれども、これも同じ条例何号という点では全く下2つと効力的には、法的には本来遜色がないはずですけれども、しかし、一たんつくった以上は、この町のルールというものを根本精神において運用すべきだというふうに最近、ここ5、6年なってきたわけであります。  あとで、具体的な基本条例の中身に触れますけれども、基本条例をつくるための予備知識ないし背景知識というものについて、少し触れておきたいと思います。  これニセコが物差しだということで、全部ニセコの風景をきょうは借用しております。借景にいたしておりますけれども、自治基本条例をつくるときに、今、安易につくられているものと、私どもが数年前にみんながボランティア作業で大変な思いをしてつくったものとの違いは、外国の歴史それから日本の地方自治の歴史、外国の文献、そういうものを全部ありとあらゆるものを調べて、手間ひまかけて何が日本で今、抜けているのかということ、あるいは必要性があるかということを調べてつくったという点にあります。  なぜなら、今日の時点で、なぜ自治基本条例とかまちづくり基本条例が必要かということを考えますと、その説明が要るわけでありまして、地方自治の歴史という点で、では日本にはあったのかなかったのか、あったとすれば復活するとか強化するということでしょうし、なかったとなればつくるということになりますから、意味合いがおのずと違ってまいります。  これは、きょうは物すごくはしょっておりますけれども、高知に行きますと、今でも高知新聞というのは、毎日のように自由民権に関する記事が必ず載っていますね。中国新聞を見ますと、毎日、原爆関係の記事が載っていますよね。長崎でもそうですね。では熊本はというと、よくわかりませんけれども、地域地域で毎日必ずキーワードになることがあるんですね。高知に行けば、必ず本当に高知新聞には必ずと言っていいほど自由民権に関する記事がどこかに載っているという印象を持ちます。  今週、木曜日も高知に参りますが、多分同じことを考えて戻るだろうと思っています。この日本で自治の発祥というのは各地ありますけれども、「自由は土佐の山間より出づ」という大変有名な石碑がありまして、はりまや橋から徒歩2分であります。  当時、立志社とここに見えますが、この明治時代に日本で憲法ができるとき、たくさんの民間の草案ができた。これが今の日本国憲法が昭和21、2年にできたときと全く違っておりまして、明治時代には民間草案が200数十ぐらいあったと、そして条文も旧日本国憲法の倍ぐらいあるものがやたらとあったというほど明治の知識人、あるいは普通の市民層の法についての意欲とか人権について意欲というのは、大きかったわけです。これに比べますと、今私たちは昭和21、2年のころというのは単にたなぼた憲法を持っているわけに過ぎないのでありまして、民間草案といえるものはなかったんですね。  それほど戦争の悲惨さというのが大きかったという、物を考えることが許されていなかったわけでありますから、今私たちが持っている憲法は押しつけ憲法と言っていますけれども、実は自前の憲法はなかったわけですから、それしか選択肢がなかったわけですね。  それで、明治時代はこれほどたくさんありまして、きょうはお話しいたしませんが、それぞれの条文は、膨大な200条、300条に近いものというのがあります。きょうは一つだけ国会図書館所蔵の立志社のこういうものをお見せしますけれども、こういう憲法案がございました。とりわけ有名なのが今でも日本の自治とか女性の権利とか、それから、今これから議論される連邦制、いずれについても発言をしていた植木枝盛という大変有名な人物がいて、彼は23歳のときに2日間で憲法草案を書いたというふうに言われています。その中には、抵抗権や革命権まであって、ちょうど彼が10数歳のときにヨーロッパの文献を自前で読んでいたということがわかるでしょう。  35歳で亡くなりますけれども、高知新聞編集主幹を最後に衆議院や県議会議員から村会議長まで務めていたという大変な逸材でありますが、早逝をした大政治家であり大思想家だというふうに思います。これがその晩年の顔です。植木枝盛の邸宅。なぜきょうこういう話をしておりますかと申し上げますと、二つのうちの一つを今、高知を例にしておりますけれども、やはりこのどのような自由とか人権について、この100年とか150年という歴史の中で思いを持ってきたかというのが、今日にある程度影響を及ぼしているわけでありまして、これも今、高知市内の博物館に行きますと、当時のこういうデモみたいなことですね、運動をやっていた男女同権と当時から言っていた。あるいは自由平民会とか自由とか、そういうことを言っていた様子が提灯行列などをしている様子が今でもうかがえるわけであります。これがその土佐の歴史。  もう一つ大変有名で、絶対に忘れてはいけないのが、東京近くの三多摩あるいは奥多摩と言われる地域、五日市という大変有名な自治体がかつてありました。そこで起きた秩父事件とか五日市憲法草案という大変有名なものがありまして、これは漫画などとか小説にもいろいろとなっておりますけれども、最近もこの間、自主上映会が熊本でありましたね。この当時の反乱を描いた映画ですが、それが皆さんはきょうは世代的には多分御記憶の方は多いと思いますけれども、25年ほど前に「獅子の時代」という菅原文太主演でNHKの大河ドラマが放映されたことがございます。  私は、ちょうど多分大学生ぐらいだったんじゃないかと思います。もうちょっとなっていたんですかね。この「獅子の時代」というのは今でもビデオで手に入りますけれども、これが五日市憲法草案とか秩父事件と言われる大変結果的には悲惨な形で終わった日本の民主主義運動を描いたNHKのドラマであったわけです。  その当時、このテレビができましたのは、その素材になるものが発見された直後でございまして、うわさではあった五日市憲法草案というものが、この薄汚い蔵から偶然1968年に発見されたということがございます。  このお宅を持っていた深沢家というのは、今日こういう建物でありますけれども、細かいことは省きますが、日本にも明治政府が認めようとしなかった自由とか民権とか民主主義とか権利とか、そういうものについての反乱、それを求める反乱が結構各地であったと。言うまでもなく西日本や九州でもあったわけでありますけれども、これほど大きな、憲法的な背景とか、一つの騒擾事件として歴史に残るというのは、そんなに多くはないので、あえてこれは日本版として申し上げました。  続きまして、その基本条例を考えるときに、やはり今の時点で物を考えようといたしますと、今の世界の流れというものを無視できない。世界の流れを考えるということは、この間の地方自治に関する歴史も考えざるを得ないということで、ごく簡単に見てまいります。  これは、アメリカの独立宣言、1776年の原文の一部です。一番冒頭のところです。ここにUnited・Statesと、こう書いてあります。なぜこれをきょうお見せしているかと申しますと、実は独立13州には憲法があります。そうですよね。憲法があって連合国家ができてUnited・Statesになったわけです。ところが一つ一つの13のStatesには地方自治を保障した規定がなかったんです。それは私15年ほど前にこのアメリカの憲法全文を読んで気づきました。ではなぜなかったとかいって調べましたら、自治が当たり前だということで憲法をつくっていましたので、あえて保障規定を置かなかったんです。これが災いのもとです。  今、アメリカで一番集権主義が強まっているのが東部13州なんですね。ここ15年ぐらい。かえって遅くできた中南部の方でホーム・ルール・チャーターといったり、いろいろな地方自治の保障をあれが大事だからということで憲法に置くようになるんです。ということは自分たちにとって空気や水が大事だというのは、今回の熊本市の基本条例案にありません。当たり前ですから。空気、水を吸っているのは当たり前ですから、それが大事だというのは。前文にはちょっと水はありますけれども、空気が大事だとは書いていない。草木が大事だとも書いていない。これは当たり前で今暮らしているからなんです。失ったときに初めて、草木も大事に育てようと書くのかもしれません。  問題は、このやはり示唆深いのは、アメリカの13の州は自治を積み重ねてやっと州をつくった。それから連合国家をつくった。だから当たり前だったので、自治ということについて憲法で保障するという意識がなかった。まだイギリスから独立することの方に頭があったわけです。不思議ですね。今からすれば不思議です。でもそのときは自然なことなんですね。そういう意味で、私たちが今自然に享受しているいい価値というものについて、何が大事かというのを探さないといけないということをここで一つ事例としてお話しできるのかなと。  それから、ドイツの地方自治の歩みなどを見てみましても、これはドイツの国旗が初めて国民に認められることになった1820年代の南ドイツ初期立憲主義と言われるその典型的な運動、いわゆる山城に皆さんが一揆して集まったという、ハンバカ城という大変有名なお城です。ここは、今はコンサートホールやレセプション会場になっている大変きれいなものですけれども、こういうところに人々は今のドイツの国旗である黒、赤、黄の旗を持って皆さん集った。だからナチスはこの黒、赤、黄の旗を国旗とは認めませんでしたけれども、今ドイツでは、この黒、赤、黄の旗が国の旗として認められている。  それは自由と民主主義を求めて人々が初めて意識的にそういう旗を使ったということがあるからなんですね。このあたりで、このドイツも1830年代からより自由主義的なあるいは民主主義を重視する市民の方からの地方自治というものの動きが出てきます。それが一つの花が開くのが1848年という、ヨーロッパ全体が激動に巻き込まれたときで、例えばウィーン2月革命とかパリ7月革命とかといいますけれども、逆でしたっけ、どちらでもいいですが、ドイツは3月に起きましたので3月革命と言います。この3月革命のときに、フランクフルトのど真ん中にありますパウル教会というところに学者を中心とする議員たちがたくさん集まって、今でも記念碑がありますが、ここで自治についての議論をしたと。  このときやった憲法の議論、そしてごく短命でしたけれども、でき上がった憲法がやっと1800年代になって実を結んでヨーロッパ全体の物差しになっていくんです。これは、シュトラスブールというフランスのドイツの国境駅から2駅ぐらいのところに、ドイツ語読みではシュトラスブルクですね。フランス語読みでシュトラスブールですが、そこにヨーロッパ評議会、あるいはヨーロッパ協議会とかいろいろな訳がありますが、いわゆる英語で言いますとEuropean・Councilというので、そこの本部が建物2つこうやってございまして、この2つの建物の中で、ヨーロッパ全体に物差しとすべき地方自治の憲章がつくられた。これが1985年のことであります。その担当者であります。  このヨーロッパ地方自治憲章は、85年に成立して発効したのが87年です。これが今日では国連のレベルにおきまして、世界地方自治宣言というもので、とりわけリオデジャネイロでまず宣言されたのが90年代の最初ですか、現在は2度も宣言された後、国連で、現在は国連で世界地方自治憲章というものにしようという動きが進んでもう5、6年以上になります。6、7年になります。  しかし、日本政府は、これをどうも批准できないだろうというふうに考えられています。というのは、自主財政権の保障とか、それから自治体の国政参加権とか、あるいは自治体による裁判への出訴とか、そういうものを日本政府は認めたくないものですから、今の状況では批准しない可能性がある、あるいは相当おくれて世界のまた最後あたりで批准するのではないかという推測を私はしております。  このヨーロッパ地方自治憲章を日本で最も早く紹介したのも、私は昔、髪の毛あったんですよ、今から17年前の写真でございますけれども、当時のドイツの代表的な憲法行政法学者の地方自治の専門家をお呼びして、こういうシンポジウムをもう17年ぐらい前に開いたことがあります。こうやって日本でもそのヨーロッパ地方自治憲章の精神を普及させようとしてきたわけですが、これがもう一つヨーロッパ規模で今実っているのが、EU、この5月1日に25カ国になりました。私も驚きました。御存じのように待機国といってブルガリア、ルーマニア、トルコ、いずれ入ることになっていますね。このEUが憲法をつくって、ごくこの1週間のニュースですけれども、フランスとオランダで否決となったということは皆さん御承知かと思います。  しかし、否決になったということで、これが葬られるというふうには即断してはいけないというふうに思いまして、時間の関係で相当画像の節約をしておりますけれども、これはことしの朝日新聞の記事でありますが、実は、この半世紀にわたってヨーロッパ規模での公務員の研修期間とか人材養成大学院とかというたくさんあるんです。きょうは相当カットしていますけれども、これ象徴的なのは全寮制で何千人という単位のヨーロッパ人という意識を持った人たちが育っているということなんです。  ちょっと、余談っぽくなりますけれども、ドイツやスイスで冠婚葬祭をある御家庭で行うということになりますと、大体5カ国ぐらいから集まるんですよ。それほどいわば血が混ざってきています。  旧東ヨーロッパの地域、ポーランドや東ドイツは各国ごとにもう姻戚関係は固まっていますけれども、西側は非常に開かれていましたし、当時パスポート検査もほとんどありませんでしたから、それぞれの血が8分の1とか16分の1の4カ国、5カ国の血が混じっているという方はたくさんおられるわけですね。ですから、本当に例えばおばあさんの喜寿のお祝いがあるというようなときは5カ国、6カ国から集まるというのが普通です。  そういう意味で、この欧州人という方たちが、言語は5つぐらい使います、普通の方は。4つから5つぐらいは平気で言葉を使い分けますけれども、こういう人たちが今ヨーロッパを支えていて、そのベースに草の根からの民主主義がなかったためにムッソリーニやヒトラーや例えばスペインでも独裁があった。その独裁を二度と起こさないため、草の根の民主主義を強化すべきだ。だからこそ、地方自治を強化すべき、だから地方自治憲章をつくる。それがヨーロッパ地方自治憲章になり、世界の憲章になりというように、ここ20年ぐらい一種よく言えばいい意味での激動というのも他方であると。これらを私たちは調べ上げた上で、体系にして今回の基本条例づくりに取り組もうとしたわけです。これはまだ外国の話です。今回のできましたEU憲法はダウンロードいたしますと英語版で400ページあります。とても簡単には読めませんが、自治の部分とか、本当はお話ししたい大事なキーワードがいっぱいあります。  ここで、スイスの話に入ります。なぜスイスのお話をするかと申し上げますと、実は、これは比較的最近知ったことですけれども、スイスでは連邦、州、スイスの州のことはカントンと言いますが、それから郡、これは別々の言い方があります。  市町村、それぞれが全部憲法を制定しているんです。憲法という言葉は英語でどういうか皆さんは御承知ですよね。constitutionです。英語ではconstitution。  ところが、英語圏には意外とそれを市町村がconstitutionを持つとは言いません。ところが、私、今回驚きましたのは、インターネットでずっと調べてまいりましたら、スイスの場合、郡も市町村も英語でいえばconstitutionにあたるフェア・ファッスンクというのがドイツ語の憲法なんです。同じ憲法という言葉を連邦も州も郡も市町村も持っているんです。だから言いかえますと、国の連邦のミニチュアが市町村である。カントンという州のミニチュアが郡であり、市町村であるということなんですね。どの統治団体にも憲法があるということに気づきました。そして同時にアメリカの自治体がそのようですけれども、警察権と裁判権を持って初めて自治体だというんです。スイスもそうなんですね。今回、これから写真を出します。  アルプスの少女ハイジのふるさとマイエンフェルトというところで、こんなところです。そこのこれが町議会議員です、5、6人しかおられません。7人ですか。そのうちトップの人が市長になります。ちょっとごらんになりにくいと思いますが、これは電子メールアドレスです。全部プライベートですから、統一した役所のアドレスではなくて、個人が勝手に入っているプロバイダーのアドレスですけれども、すべての議員は当然電子メールとファクスと電話等が表示されています。何年以来議員をやっているかというので、これはたまたま男性が多いんですが、こういう形で、ここに全部電子メールアドレスがのっかっています。市の市長は、さっきの議員から選ばれるトップの方がなりますので、市の助役兼総務課長に当たるような方がこの方です。  小さな町で3,000人ぐらいしか人口ありませんので、私が電子メールで、この町の代表のインフォーというアドレスに問い合わせ事項を送ったら、1時間後にこの方の署名入りで、御本人のメールが戻ってきました。ということは、日本でいえば助役兼総務課長の方が、直接インフォーを管理しているという、しょせん職員が五、六人しかいないんですね。3,000人といいましても。  これは税務関係の責任の女性ですが、このようにして、市の警察官も携帯電話から一般電話、ファクス、電子メールアドレス、全部公開しています。だから治安がいいということですね。逆に申しますと。  このように警察権から裁判権から、そういうものを持ってわずか人口3,000人の自治体でも成り立っている。これが一種の民主主義の母国みたいな感じになっているということに、この間驚きました。このような外国があるということになりますと、私たちは、今日本の地方自治法というものだけを前提において、これから何十年か使うかもしれない基本条例というものをつくっていいんだろうかということをやはり考えざるを得なかったわけです。  もう一つ、外的な要因を申し上げますと、自治体の結びつきが、この間、国際的にすごく変わっています。これは環バルト海、バルト海というのは、昔はラトビア、リトアニア、エストニア、ソ連、ポーランドというふうに東側の国があって公害垂れ流しをやっていました。他方、環境を守っているバルト三国があります。バルト海というのは1回水が入れかわるのに100年かかるそうです。内海ですから。そこで奇形魚がいっぱいいて、とても食べられる魚はとれなかったんです。ですから、西側のスカンジナビア諸国とドイツが主導権を握って、バルト海をとにかくきれいにしたいという大プロジェクトを起こしたんです。これはスウェーデンの一番南の方にありますカルマールという美しい古城のある都市ですけれども、そこの会議場でお城の跡を使った市役所で説明を受けたんですが、これは市長その本人が説明してくれていますけれども、ちょっとごらんください。  これスカンジナビア三国です。これがバルト海です。ここがスペインとかフランスとかポルトガルです。これイギリス、アイルランドです。そうなりますね。この環バルト海全体を対象とする広域的な自治体の連合組織があって、ここで環境だとか旧東側諸国がおくれているのが文書管理とか行政運営なんです。そういうことを支援することをやっている。同じようにおくれている地域にも、こういうふうにこんな大きな規模のリージョンというものを設けて、これを後で申し上げるこれなんですが、オイレギオといいます。ヨーロッパというものEURとリージョンという地域という言葉をかけて、一種の駄じゃれみたいな造語ですが、オイレギオというふうに言います。  こういう地域をたくさん今つくっています。時間の関係で一つだけお見せしますと、これは旧西ドイツのバイエルン、ここにバイエルン、ザクセン、チューリンゲン、これは旧ドイツ側ですけれども、西と東に分かれます。こことこことこことです。チェコのボヘミアはこれです。こういうところが一つの教科書をつくっている。今まで言語の対立で殺し合いをやっていた。河川環境をこっちから流れる川がここを通って、ここを通ってもう一回こっちへ戻ったりします。例えばドナウ川なんか。  それではいけないというので、一つの教科書をつくり、地域の歴史というものを学ぼうと。ちょうど日本と韓国、台湾が教科書を一緒につくるようなもんです。まだそこまでいっていませんけれども。そういうことをもう10年来ずっとやってきているんですね。こういうのがオイレギオと言われるヨーロッパレベルでのリージョンの地域対策なんです。もう一つお見せします。  これはまたかなり違った地域で、ハンガリーあたりにかかる地域のホームページからパクってきたものでございますけれども、プロディというのはドイツ語の乾杯という意味ですが、2005年版のホームページでは、こんな行事をいっぱいやることで、国民の融和とお互いの行政ノウハウとか政治ノウハウの交換をしているというわけです。  なぜ、こういうことをお見せしたかと申しますと、実は去年の4月1日に、世界の自治体の主な連合組織全体が、一つの大同団結をした組織になりかわりました。従来は、みんな多くの公務員の方は御存じと思いますが、IULAという国際自治体連合というものがございまして、オランダのハーグに本部がございました。そのほかに大きな3つの国際的な自治体の連合団体がありましたけれども、今回はスペインのバルセロナに事務局を置いて新たなUCLGという大同団結組織ができたんです。これはUnited・States・and・local・governmentsとなっていまして、実はこれは訳しようがない非常に難しい言葉なので、今定訳はございません。メモだけしていただければと思います。  そして、このUCLGをお部屋にお帰りになってインターネットで入れていただくと、すぐに検索、これだけでUCLGだけで出てきますので、英語版ですから、ぜひのぞいてみていただきたいと思います。  何が今問題かと申しますと、日本は実はこのIULAの時代から一つも正式加盟をしていないんです。理由は会費がもったいないという理由なんです。本当に恥ずかしいんです。ところが、韓国、台湾とか中国はほとんどの市が入っているんですよ。今度のUCLGの設立総会はバルセロナでありました。これの全体の事務局長さんはフランスのマルセイユ市長なんです。  第2回の国際大会が何と来年済州島であるんです、韓国の。ここからすぐのところです。手こぎボートでも行けます。ところが、日本は正式加盟やったのが初めて浜松市、この間、浜松市の企画課に電話したら、担当が国際交流課だということで国際交流課長さんにつないでいただきましたけれども、市長が勝手に入ったんだけれども、我々は何していいかわからんとおっしゃっているんです。それはそうですよね。今までノウハウも経験も何もないわけですから、今ただ入ったという、日本の第1号と、何でも1号というのはいいことなんで、悪いこととは思いませんけれども、これが日本の現状です。非常にお寒い。  なぜこんなに詳しく私がお話ししているかと申しますと、このUCLGは津波がこの間インドネシアで起きた翌日からもうキャンペーンをはっていて、ここにTSUNAMIと書いてありますが、男女共同参画の支援、womenと書いてあります。それから津波被害とか、こういう政策課題を直ちにバルセロナ発でやっているんですよ。日本の市長会、町村会がそんなことをやっているかといったら、まずやっていないわけです、残念ながら。  そういう国際連携というのがすごいということで、一言でここでまとめになりますけれども、日本の今合併をする。そして巨大な自治体ができる。口癖のようにみんな自治体間競争と言っていますが、国際的な傾向としてはこういう言葉は使いません。少なくとも私が承っている限度では、今は、多様な主体の連携、協調と協力の時代です。  ここでは政府だけじゃないんです。まさしくNPOとかNPOの資格も持たないボランティア団体、そこに団体のまた集合体である団体、このようなアメーバー状にいろいろな組織や人や個人が入り交じって終局的には世界の平和のためとか、世界の人権保障のために動くというのが今日の国際的な流れに一つなっているんです。  確かに、国の中には今、血で血を争う国がいっぱいあります。しかし、良識を持った先進国では、やはり競争でどこかを蹴落とせば、うちの国だけがよくなればとか、うちの地域だけがよくなればという発想はかなりなくなっています。  やはりここで言う、多様な自治体の連携、協調、協力というのがさっきお見せしたUCLGなどでの大きな発想でありますので、自治体間競争というような言葉は私はなるべく個人的には使うのを避けたいというふうに思っております。  ここで、前半終わりましたので、ちょっと画像を入れかえます。  ここからニセコ町のお話を中心に基本条例のことに入ります。  これはニセコ町を象徴する羊蹄山の四季の写真です。ニセコ町のまちづくり基本条例がなぜ物差しになったかというお話のより本質に迫っていきたいと思います。実はニセコ町で、こういう私どもがボランティア応援をしながら条例を新しく、憲法に当たるものをつくろうと考えましたけれども、これはもちろん町長の依頼があってのことですけれども、日本で、では歴史がなかったかといいますと、はしょって申し上げますが、川崎市と逗子市がごらんのそれぞれの都市に都市憲章条例というものをつくろうとした。川崎市は、議会に提案するところまで行き、逗子市はまとめまでするというところまで行きました。  しかしながら、政治状況が変わったために、いわゆる革新自治体という形でなくなったために、これは日の目を見ないまま終わりました。  今回、今、全国のニセコ町以降の流れとこれとは全く違います。当時の川崎市や逗子市は平和とか軍事基地廃止とか、あるいは当時環境破壊がすごかったですから、環境に対する政策とか、あるいは生きる権利だとかそれから公害政策、そういうような右端に書きましたが、政策理念をかなり強調するものでありました。  今はやっていますのは、ニセコ町以降は、政策の個別なものはほとんど出しません。ほとんど手続です。ルールです。まちづくりをするためのルールをきちんと定めるというのに流れが変わってきました。それを変えたのは私どもだと言っていいかもしれませんが、それは外国の今までいろいろなことを見て、それから日本のこういう歴史を見て、そして私どもが作業をする直前に、実は群馬県が知事のリーダーシップのもとで、基本条例をつくろうとしていたんですが、群馬県の小寺知事という方は映画もつくった方ですね。「眠る男」という映画もつくられたぐらいで文化人なもんですから、ちょっと基本条例をポエティックだった、詩みたいなんですね。それで私らちょっとついていけないということで、公務員もついていけなかったようで、一時、途絶えました。きょう時点、また再開作業をされていると思います。  それから、高知県は私はこの間お手伝いしてまいりましたけれども、ちょっと簡単にはできなかったということで、現時点で挫折しています。こういう日本の基本条例に当たる、あるいはそれの親戚筋に当たるものについても、丁寧な検討分析をした上でニセコ町の条例というものにやっと取り組めるわけです。ですから、今お話ししたのは、アメリカ、スイス、ドイツ、ヨーロッパ、世界の流れ、それも歴史的に200年ぐらいまでさかのぼってということを作業してやります。
     こういうことを市民参加でやれというのは無理なんです。今回、熊本市の作業の冒頭のときに、ホームページに「ニセコでは市民参加で始まっていない」と書かれて非難を受けましたけれども、こういう深い歴史研究や、英語やドイツ語やフランス語を読むというのは、市民の方と一緒に最初からはやはり無理です。これは研究者とボランティアの有志の職員で、語学もできる人たちが集まって基礎研究しなければ、ある程度までいかないと市民の方に入っていただいて、やわらかくする、わかりやすくする作業には、私たちはいかなかったと思っています。まねる方は幾つか持ってきてまねるというのはできますけれども、最初からやる場合には、もう基礎研究、これは避けられませんでした。  ニセコ町というのは、この左にあります北海道のこういう場所にございます。千歳空港から大体2時間です。札幌までは列車で大体30分、こういう距離のところにございます。今、羊蹄山というのを北海道富士といいますか、蝦夷富士といいますけれども、ニセコ町というのは実はここの範囲です。  当時、粗っぽい町の区割りをしていますので、羊蹄山を中心に適当に分けろということで、こんなふうに直線で、ちょうどアメリカの州を見ているようですね。開拓地はこうやって土地を分けていったという歴史があります。なぜニセコ町が今注目されるかと申しますと、ニセコ町は昨年の参議院選挙、それを3年前の有権者と比べてみますと、近隣20近い自治体の中で、唯一有権者がふえています。これが一つの証拠でありまして、ではなぜふえたかということでありますが、他の自治体は全部減っているわけですね。それから、ニセコ町長の日記で去年、明けておととしの記事ですけれども、老後に住みたい道内の町はというので、ベストテンが上がっていますが、全部名だたる自治体都市なんです。  札幌市に住みたいという人が多いのは、当然のことで、これはわかります。小樽市は人口20万人も近いわけでありまして、北海道発祥の地、今でも北海道中央バスの本社と日銀の本店の跡があるとか、だれが考えても住みたい場所にもっと高い地位に来てもいいと。それから千歳市は飛行場がありますから、人口9万人から10万人、これがもっと上でなきゃいけないのに、何と町が1個だけ入っていて、ニセコ町が同列ですけれども、8位に入っている。これは例えば10万人にアンケートすれば1,000人の方が賛成しているということになるわけでありますから、大変な比率の方がニセコで老後を送れば無事に終末を迎えることができるという意識を持っているということなんですね。それが名だたる近郊自治体と並んでいるというのは、大変なデータだというふうに私は思います。  そして、今いろいろな、これは共同通信の記事で熊本日日の報道ですけれども、共同配信ですが、読売新聞のものもありますが、各マスコミがモデルにしたい自治体を首長の方をアンケート対象としてとりますと、大体のもので今1位になるのがニセコ町です。そして、これは平成16年ですから、去年ですけれども、自治日報というタブロイド誌がございますね。あれでも佛教大調査では1位、これも首長アンケートです。  それから、現在日本の中学校の公民教科書の6割が一つの教科書を使っているようですけれども、現在も改訂作業が進む中で、ニセコ町が題材となっているというのが去年の記事です。それから1週間ほど前の5月31日の町長日記ですけれども、環境首都コンテストというので、小規模自治体部門ではニセコ町がトップだった。そのまた小さな部門賞があるようでして、住民参加型の土地利用計画策定とか、循環型クリーン農業でも部門賞を受賞している。このようにやることがほぼすべての分野で今評価されているということでありまして、その条例をつくったから評価されているのではなくて、その条例と手を携えて、さまざまな政策がすべて学問的レベルあるいは科学技術の水準の最高のもので仕事をやっている。それがたかだか80名ほどの職員でできているというところがすごいです。  今、例えば職員の方は特に御存じと思いますが、新たな指定管理者制度ができましたね。そういうことができたら、直ちにそれを個人情報保護条例とか、情報公開条例にももう条文を入れて改正しているんですよ。そのぐらい迅速なことがたった80人の職員でできる自治体なんです。  今、ニセコ町のこのいろいろな取り組みは、たくさんのテレビで報道されていますが、ビデオにもなっていまして、これ1本1万円ですけれども、こういうビデオでもシリーズの第1号でつくられて売られております。これもインターネットで調べればすぐ買えます。それから、町長の日記です。  ニセコ町のそういう今、結果としての実績を先にお見せしました。これから、その条例をつくっていくノウハウのことをお話しいたしますけれども、余り言いたくないんですが、熊本市で今回基本条例をつくる市民グループの方に、第3回の作業手引きというものが配られた際に、ニセコ町の条文と杉並区の条文だけが配られたようでございます。  そのニセコ町を批判して、行政的な固い言葉遣いだと、わかりやすい言葉ではありません。住民参加なしに作成された条例だと、大した重みもないというふうに熊本市のスタッフの方はお考えになったようであります。  これがいかに事実と違うかということを少しお話を私はさせていただきたいと思います。これは町長がわずか100何票で当選したその夜の11時半の祝賀会です。ネクタイをした人はだれもいません。支持した人はお年寄りと若者と女性とばか者でございます。これは冗談です。  ニセコ町のまちづくり条例どうやってできたかというので、実に写真は限りなくありますが、多様な形のこういう住民集会が開かれて、議論に議論を重ねて最後車座のものもありますがこうやって、これお坊さんですね、お寺の方ですが、こういういろいろな規模の大小、六法ありますね。こういういろいろなグループの小さな議論も積み重ねて、私も何度か講演にまいりましたし、そういうことをして基本条例というのはでき上がってまいりました。  ニセコ町の基本条例の驚くべきところは、実は私どもサポート集団は、ニセコの職員数名が入ってはいますけれども、基本的に札幌市とか釧路市とか苫小牧市それから小樽市とか、そこそこの自治体でほされた職員が持ち余している能力を私が最終処分場として利用するんですね。  役所でエリートの方は、もうそんなに土日に何万円も使って1回の勉強に来ることをしないんです。ただ、能力を持っていて使われていないと思っている方は、私の傍になぜか寄ってこられるんで、その人たちと一緒に勉強しましたが、そこで原案を本当に20回、30回と集まってつくりました。  ただ、前文だけは、骨子はつくりました。全部この本に骨子の中身は最後に条文紹介してありますけれども、前文はニセコ町の町民と職員の方にお任せしたんです。でき上がったものを見て、私たちは驚きました。なぜ驚いたかというと、住むことが誇りに思える町をつくりたいと、この相互扶助というのは、有島武夫が当時農民開放をしたという有名な有島農場ですね。そこから来ている相互扶助なんです。これが全然わかっていない研究者がいて、何のことかとよく論文で書いているんですが、深く歴史を知らないと、この4文字の意味はわかりませんけれども、それはいいとします。  「町民一人一人がみずから考え、行動することによる自治が基本です」と、これは建前としてはわかりますね。その次がすごいんです。「私たち町民は、情報共有の実践により、この自治が実現できることを学びました」という過去形で彼らは書いてしまったんです。私たちはそこを書く勇気はなかったんです。だけれども、町民の方と職員の方たちは、それを自信を持って書いています。今、お見せしたさっきビデオの写真とかこういう本とか、最近いろいろなニセコ町の職員が書いた原稿なども各種ございますけれども、町民の方全員が私たちの町には基本条例があるから大丈夫だとか、お互いが信頼できるとかというんですね。ビデオの前でもテレビの前でもおっしゃっているんですね。それがその結果としてつくったことのよかったなという側面だと私も考えていますが、それをつくるには実践があった。  ニセコ町の場合は、町長がかわっても、今の町長はたまたまいいから情報公開している。個人情報を守ってくれる。計画をつくるのもみんなオープンだと。でも町長がもし悪くなったときどうするか。その歯どめのために今回条例をつくったわけです。今多くの日本の自治体はそうではなくて、より情報公開をするため、職員が頑張るため、あるいは住民の方の力を借りるためという目的でつくる、どっちも正しいんです。ただ我が町の実情に合ったものをつくっていかなきゃいけないと、そこがまず大事なんで、ニセコ町の場合は結果をまとめたんです。だけれども、追いかけていく自治体はそうでないところもあるとすれば、我が町をきちっと反省というか振り返って、何が課題かを見て、何のために基本条例が要るのかということを考え尽くさなければ、今回の基本条例というのは魂がこもらないということになろうかと思います。  これが基本条例ができる当日の議会の模様です。これは反対討論なさっている方です。そして、もしこれを3分の2の多数でやったら、実は危なかったんです。10対5の多数決で決まりました。この座っている方は末代までちょっと恥ずかしいなという感じがあるかもしれませんけれども、これは冗談ですから。きょうと同じように、全道のすべてのテレビ各社が入りました。すべてのメディアが入った前代未聞の決議風景になったわけです。  これはちょっと難しいから省略させてください。これが私ども北海道大学の中でほとんどの会議を開きましたけれども、これはニセコ町の職員が何名か入っていますが、こういう大体いい思いを余りしていない職員たちがいっぱい、これが私じゃないかと思うんですが、こうやって集まってきて、何度も繰り返してプロジェクトチームを編成してやりました。  これ00年2月26日という日付が入っていますね。私が札幌市を離れる直前だと思います。これを私たちは自分たちで自治プロ、自治プロと。プロジェクトチームの略でそう言っておりました。ここで問題、後で申し上げてもいいんですが、一つの自治体の職員と議員だけで条例をつくるという考え方は、私はちょっともう古くなってきているんじゃないかと思っています。  なぜなら、例えばこちらの自治体はこれから合併しようという希望がある。そうすると、小さな地域にお住まいの方の声も入れなきゃいけない。それから、ニセコ町は今回典型ですけれども、自分たちは90人弱しか職員がいない。それで一流の法律とか条例とかをできるかといえばそれは無理なんです。よそから知恵をかりてくればいいわけ。しかも、私たちこの審議会、私はオフィシャルな審議会にも入っていましたけれども、1回ニセコ町まで行って1泊2日で行っても1万円くらいの謝礼です。それでも楽しいから行くんですね。やったことが形になりそうだから行くんです。そういういろいろな自治体の方のいろいろな発想を集めてつくる。その方が外から見て、その町のいいこと悪いことが見えるんですね。  それが見えなければ、基本条例がやはりできなかったと思います。もしニセコ町で幾ら逢坂町長が部下に頑張らせて、何日か徹夜させてつくっても、これはいいものにはならなかったと思います。もうみんなが持てる力をよそから持ち寄ったからこそ、その3人で文殊の知恵というんですが、一体20人集まればどんな知恵になるかわかりませんけれども、それができたから、今回は全国標準に成り得たのではないかと思っています。1条の目的は読めばわかりますので、やめましょう。  第2章、まちづくりの基本条例という、基本原則で、非常に情報ということにこだわります。それから説明をする。公務員が住民の方に説明をするということにこだわります。そして参加をする原則にこだわります。それから意思決定というものをとにかく住民の方や企業の方にわかりやすくするというプロセスを公開する。ここにもこだわりました。  そして、情報をみんなが持つための仕組みをどうしたらいいか、そのために集める方法と管理する方法、当然ですけれども、今は個人情報保護、これは今ではちょっと古いかと思いますが。こういうことを整備して情報共有の推進を図りました。  そして、ここが大事なのですけれども、ぜひ熊本市の職員の方々にお考えいただきたいと思いますのは、情報というのは、まず職員みずからがどこに情報があるかがわからなきゃいけないという、実にプリミティブな話です。これが私の仕事部屋の机もそうなんですけれども、わからないんですね。自分の情報がどこにあるか。  それから次は、職員の方が住民に説明できるように、自分が理解できなきゃいけませんけれども、それを住民の方ですから、もっとわかりやすい言葉に翻訳して御説明できなければいけないわけです。そのリテラシー、能力というものをどうやって高めるかということが大事です。それから行政情報はだれでもアクセスできるということと、その大事さと子供でも理解できるような情報の確保というのは、ぜひとも必要だと。ニセコ町の町長が就任する前は、皆さんひょっとして役所も同じ雰囲気かもしれないし、私の職場はもっと汚いですが、閉庁後もこんな様子だったんですよ。  ところが、今ニセコ町のホームページに載っている文書管理制度の改革前というのは、こういうものがこのままきょうも載っています、これが。この柱を見ていてください。この柱、これがこんなふうに変身するんです。すべてフォルダに管理され、ホチキスとか雑誌とか辞書とかも全部同じ場所に戻さないと帰っちゃいけません。帰った後は全部滑走路になるということになります。それでこういう状態です。  もうパソコンだけが載っています。すべての文書は30秒以内に取り出せなければ課長以下、再度研修が行われます。課長責任です。30秒以内にあらゆる公文書は出さなければいけません。ちょうどJR西日本の運転手が東京駅から新大阪駅まで平常時に30秒おくれたら研修所行きです。日勤ですね。これはもう1年以上前から言われていたことで、私も承知していまして、この間までは冗談で言っていたんです。JRは30秒おくれたら日勤ですごい研修だよと。もう今は言えません、あんな事故が起きましたので。ですがニセコ町の場合は30秒を超して、抜き打ち検査で出せませんと、その課はもう一度再研修です。切手一つも全部ここのフォルダに入っています。住民も見ていいんです。戻せばいんです。そして同じ文書は二つとありません。一つしかありません。それはキャビネットの容量があるからです。そして何十年後かを想定して、今回30年保存というルールができておりますけれども、普通は10年超したら永年保存というやり方をしていますが、ニセコ町の場合は私がドイツがこうだということで言うもんですから、30年保存にしていますけれども、30年を超すと文書館に行くんです。そこでまた整理しますが、ともかくキャビネットの容量から逆算もすることでオリジナル文書は一つしか残さないということにもう徹底しています。  実は、皆様のお隣にこういう自治体があって、全く同じ滑走路状態ですよ。この宇土市は広田さんという公認会計士がコンサルで入って、宇土市は同じニセコ町とシステムをとって30秒以内に文書が全部出てきます。退庁後のこれが総務課長の机です。だれがのぞいてもいいことになっています。一番上に文房具であとは共用フォルダでのぞいても、とられても余り問題のないものしか入っていません。あとはかぎを締めて帰りますから。宇土市は息子さん、ニセコ町を指導したのは広田伝一郎さんというお父さんの方です。この2つの自治体が双璧で、宇土市の場合は、これを条例にしていますから、宇土市文書管理条例というのは日本で第1号です。  ですから、ぜひ視察に行って、熊本市もこのような文書管理システムをした上で、次は電子情報管理です。そこまでいくと、日本のトップになれますけれども、そのときはよそにまたトップがいっぱいできています。場合によっては。  では、なぜニセコ町はこんなことを次々できるか。わずか90人弱の職員でということですけれども、90人の職員のうち、現在大体15人程度は全国規模、北海道規模の各地域で講師活動をしています。  全職員はパワーポイントを用いて職場会議や地域の集会で説明をします。今、大学院卒も3人から4人いると思います。それからニセコ町の基本条例をつくった担当者は入庁1年目の総務課職員でした。この人は大銀行をやめて、競争率30倍の中から800万円の年収を捨てて400万円で採用されたという人ですが、彼が入庁1年目で今回の基本条例の全体の系統図から何から全部つくりました。それほどうまく人を使います。  熊本市なら6,000人を超しますので、比率で言いますと1,000人の職員が全国各地から講演要請が来るはずなんですが、何人来ているんでしょうか。全然笑いが来ないからきょう何かちょっと寒々としているんですけれども、なぜニセコ町がこうなったかというと、大体日本国じゅう平均しますと、職員一人当たりの研修予算は大体2万円から3万円の間です。最近もっと減っています、予算削減で。こちらの事情を存じ上げませんが、ニセコの場合、この10年間で全国平均の大体14、5倍という予算を使って、職員をあらゆるところに派遣してきました。いわゆる座学の研修だけではありません。自前で企画した研修だとか、派遣研修とかいろいろな形ですけれども、あらゆる種類のあらゆる研修に人を出していって、人づくりを進めました。ですから、素材は全国ほぼ共通です。今までだって10年前までは小さな山の中の小さな村に過ぎないわけですから、そこに入った職員の方といえばおおむねが高卒の方です。  その人たちがみんな光る素材になってきたというのは、どういうことなんだろうかと考えると、やはり人をうまく育ててきたと。それもたった数年でここまで来たというのが驚くに値するだろうと思っています。ニセコ町の一つのあと特徴といたしまして、まちづくりのさまざまな参加権がありますが、20歳未満の方たちへの参加権というものを大変強調しています。それは、私と逢坂町長がある市長選挙のときに企画ごとを行いまして、あるべき首長像はという一つのシンポジウムをやりました。それで、そのとき高校1年か2年の女の子が手を挙げて立ちまして、未来は私たちが使うんだから発言させてほしいと言ったんですね。未来は私たちが使うんだから私たちにも発言させてほしいと。それは総合計画をつくるときもそうでしたし、選挙戦でもそう言ったんですね。これには大変、私は逢坂さん感動いたしまして、以後、子供ってできるんだということに改めて気づきまして、これからお話しするようにニセコ町は町長室に子供がしょっちゅうこうやって出入りすることになります。  町長のいすにこんな子供さん座っています。それから子供議会というのもやりましたけれども、私はこれはおかしいと言ったんですね。ここに子供さんが質問をして町長に質問をしたいのに、町長に尻を向ける形で質問するのはおかしいと申し上げまして、最近は質問する子供たちの代表は理事者側に向かってすると、ここに逢坂町長座っていますね。答弁する側も子供たちに向かって答弁するという形に変えてもらいました。  こういうちょっとした変えることも、対話をうまくやっていくことの手法の一つだと思っています。それから次、今回の熊本市条例にないものとして、コミュニティの問題があります。コミュニティというのは、実は私どもが札幌市でいて、応援団のチームは実は気づかないというか、あえて避けました。古い部落会、町内会は山奥のニセコ町でも実は崩壊しています。  崩壊までは行っていなくても壊れかけています。そこで地元の職員と町民の方が実は第5章は入れたんですよ、自分たちで。コミュニティということは、すごく大事だということで、そのコミュニティはいわゆる地縁団体ではないんです。おわかりですか。日本で町内会、自治体というのは土地を基準にしていますから、地縁団体です。それは今でも地方自治法で法人格が認められるようにここ10何年で変わりましたね。ニセコ町の場合は、人の集まりを全部コミュニティというふうにとらえようと彼らは考えたんです。  これは私の原案じゃございません。ただ、そういうことによって、地域を生かすのは、さっきは私は外国の自治体が連携とか協力とか協調でいくと言いました。まさにその発想をニセコの人たちは感覚でつかんでくれたんだと思いますけれども、何も自治会というがっしりした土地に根づいたものだけじゃなくていいんじゃないかと。NPOでもいい、魚つりの同好会でもいい、環境を大事にする人たちでもいい、特にニセコですから、アウトドアとかペンションの人たちはいっぱいいます。そういう人たちが集まっているものが既にコミュニティなんだと、それが町を活性化させる大事な要素だということに考えてくださって、3カ条もの規定が置かれたわけですね。  今、日本の例規集、総務省のデータベースを見ますと、日本には法律用語としてコミュニティというものはありませんでしたけれども、最近はちょっとヒットするようになりました。だから法令用語としてもコミュニティという言葉が出てくるようになりましたので、これからは使ってもいいのではないかと思います。  あとおもしろいこといろいろございまして、選挙戦のときは大体首長の候補者の方はいろいろなこと、できないことまで口にして当選することが間々あります。当選したらできないという思いをいたすことがあるんですよね。それでアメリカの大統領の宣誓をまねて、私が町長に宣誓させたらおもしろいじゃないのと言いました。そしたら逢坂さんは自分がするつもりだったらしくて、そんなことしたくないと言ったんですが、あなた3期目に就任するとは限らないんだから、あなたの意見は通さないよということで条例に入れ込んでしまいました。そうしたら彼、一応3期目に出ましたので、自分がやること、初代の宣誓する町長になりました。この日は午前2時ぐらいまでペーパーでやりとりしまして、宣誓文を私も一緒に考えました。  以後、町長だけではもったいないということで、三役全員宣誓するんです、今は教育長も宣誓されます。  それで、自分の方針を住民と議員の皆さんの前で助役も収入役も教育長もされるというふうに条文上なっていきました。それから、まちづくりでみんなが協働でやらなきゃいけないということなんですが、実は、私どものグループで唯一ミスったなと思っているのは、この「協働」という言葉を使ったことなんです。これだけが私たちのちょっと傷だと今、グループ内で思っておりまして、そのときはちょっと勢いで使ってしまったんですが、この1カ所だけです。このことは、御質問があればちょっと後で触れます。  それから、ニセコの場合は財政状況を徹底して皆さんにお示しすべきだということで、大変有名になりました「もっと知りたいことしの仕事」というものがあります。これは2年目につくられたもので、第2回目のもので、1996年です。その内容ですが、もう御存じの方大変多いと思いますけれども、幾らの予算で補助金は幾らで、総予算が幾ら、それから国庫支出金が幾ら、単費が幾らというのが全部書いてありまして、何とかさんの前から何とかさんの家の前までこれが舗装するとか、こういうものが全部書いてありますので、1万円単位の例えば遺族会の補助金まで書いてあります。  これを子供たちと議員さんが全部手もとに置いて、ふだんの議会質問とか子供の学習の場でも使われていますので、子供たちはニセコ町の予算で一番高いのがスクールバスで2,000万円かかっているということをみんな知っているんですよね。単費事業で一番高いのがそれなんですね。  これが、ずっと各年版の「もっと知りたいことしの仕事」というのでして、2005年版は数日前から発売になりまして、これがそうです。それから、行政評価ということも大変大事なんですが、やや技術的になりますので、ちょっと省略させていただきます。  それから住民投票、これは今回も議会と提案との間で、いろいろと議論のあるところだろうと思いますが、ニセコ町の条文は、実は条文を決める最後の最後の最後の条文が実はこれだったんです。議会に提出するもう直前のところで、私はたまたま岐阜県の自治大学校で講師に行っているときに、結局どうしようかという電話を町長からもらいまして、そこで最後えいやと決めました。その案が今回伊賀市などでも採用されていますけれども、基本的に何でも住民投票に付すということはしません。やるときは別途条例を設けることにいたしました。それが第1点です。  それからもう一つは、徹底した学習をしなければ翼賛選挙になってしまうんです。ヒトラーと同じことになってしまうので、十分に住民も議員も職員も学習した案件でなければ住民投票に付すべきではないという考え方をベーシックに持っています。そして、多くの自治体の条例では、結果を尊重するというふうに首長に義務づけているだけですけれども、それはまずいと思っていまして、住民の声が5割以上がこうなったらこういう態度をとるということをあらかじめ首長が皆さんにお示ししておくと。だから民意に従うと。だから、自分はマイナス票が多ければこうします。51%になればこうしますということをあらかじめ言うべきではないかと。その文章にしたのが、最後の条文でした。この全46条、その条文の最後の最後まで悩んだのが住民投票の扱いでありました。  だから、それなりに実は苦労したつもりです。「連携」というのも、なかなか多くの方は解説を読んだだけではわかっていただけないみたいで、4種類の「連携」を書いているんですが、意味はありますけれども、ちょっと省略させていただきます。  それから、条例を制定する手続も世間で言うパブリック・コメント、いわゆるPC手続よりもかなり進めた仕組みをとっています。恒常的に住民参加の手続がありますので、対象範囲はニセコの場合は非常に広いものになっております。  それから、よく言われる最高法規として、自治基本条例というのがあっていいのかということなんですが、これは私どもは最高とは書いておりません。最近の多くの基本条例、かなり印刷してまいりましたけれども、はっきり最高法規性というものを書いている自治体がふえてきましたが、私どもはそれは明文では言っていません。あえて言いませんでした。これは尊重してもらえばいいということでありまして、そのことが結構いろいろな方からは評価されています。法律家が入ってこれをつくったということで、評価されている側面があります。  それから、お気づきだと思いますが、ニセコ町の条例には議会についての規定がありません。これは私どもサポート集団は、いわゆる自治プロというサポート集団は、原案の中には議会の規定を5カ条ぐらい入れています。  ですが、首長が提案する条例案には議会の規定は入れるべきではないだろうということで抑制しています。そのかわり今度の6月議会、2005年の6月議会で、相当中身のあるものが議会から提案される予定です。本当は3月議会に出る予定だったんですが、ちょうど今、ニセコ町の場合4年のリミットが来ましたので、改選期になりましたので、一緒に出そうということで今6月議会に今度出るはずですが、条文自体私は存じ上げませんけれども、今回、議会側が自分たちで練った案を加えられるようですので、ぜひインターネット上で注意していただきたいと思っています。ですから、議会のことを私たちは全体の体系の中で矛盾がないように、かなりおもしろいことをいっぱい書いています。しかし、それは議長以下の御判断にお任せすべきことだというふうに整理したわけでございます。こういう体系があるということですね。ニセコの場合4年を超えない期間ごとに見直しますということで、ことしがその時期にもうまいっております。  そういう一連の私どもの作業の流れをまとめたものが、私たちの町の憲法という本でして、それの編集会議ですが、実はこれが議場なんです。ふだんはこの壁をとりまして、ここに机といすが重ねてありまして、これを取っ払うとここが全体が議場になるんです、その日だけ。だから議員の控室もありませんし、議員図書室もありませんし、もちろん議長専用の部屋などはございません。  私も5、6年通っていて、なぜ議会がないのだろうと不思議に思っていたんですが、いつも木佐先生こうやって座っているところが議場ですよと言われて、えっとかと思ったのが実情でございます。  ニセコ町のこの基本条例ができた後は一層、住民参加が進んでおりまして、これは綺麗乃湯という町営温泉ですが、できたときから黒字です。株式会社にしていて、市民出資で住民が参加して企画し、運営もいわゆる第三セクター的なものでやっていまして、非常におもしろいのは、よそにもできた、ここにもできたというので、ふるさと創生でいっぱい温泉できましたので、最初ニセコ町民は古くなった町営浴場を建てかえることはわかったと、うたせ湯も欲しい、サウナも欲しいとかと言って、ぜいたくで、こんなの経営できるのというふうにみんなで議論して、町の財政状況をみんながあれで予算表で知っていますから、身の丈に合ったものができたんですね。  この人口規模と観光客が使うのに一番いい規模はどうかということをみんなで考えたら落ち着くべきところに来て、初年度から黒字なんですよ。株主である町民還元できているんです。だからいかに財政事情をオープンにしていけば損がないかと。これは大変今有名で、全国から視察が絶えない、「あそぶっく」という図書館と議会図書室と行政情報センターと資料室を兼ねたもので、旧郵便局の国営の建物を安く買い上げて、完全補修したものです。ごく最近、ことしですが、中学校も新設がいいか新築がいいか改修がいいかって改修を選んで、ほぼ新築と同じものをつくって費用は4分の1ぐらいで終わったと言っています。  そういうことを常に繰り返して今やっているのがニセコ町で、これは道の駅、これもまさに住民の知恵を絞って、どこにつくるかというところからやったものであります。  ここに今、普通でいえば観光協会に当たるところが株式会社ニセコリゾート観光協会かな、そういう名前でこれホームページですぐにわかりますけれども、これも黒字経営、これの社長、事業部長さんは、日本で第3位の広告会社の部長級の方が応募してなられています。競争率50倍ぐらいだったんじゃないかと記憶します。  これからの基本条例の課題ですが、実はニセコ町でも問題があります。これはおとといいただいたニセコ町の職員のメールですけれども「木佐先生へ」と。ニセコ町役場がどんどん変わっている中で教育委員会という組織はこの11年間全く変わっていなかった。それを変えるために町長はこのある人を派遣したんですけれども、課題山積ですと。ここですね、執行機関とか議会とか、仮に市長部局が変わっても、多元的執行制度、機関制度を日本は持っているものですから、場合によっては問題が残るところがあります。  最近の基本条例、このように数え切れないほどつくられておりますが、新しい課題がやはり出てきています。これはまた議論の中で補わせていただければと思います。  これは、まだ私は現物を見ていませんが、インターネットで見たら、数日前に発売されたようですけれども、大和市の基本条例を大和市の職員が編集してつくったというぎょうせいから出た本がございます。  あとリーダーシップというのが大変大事だということで、北川知事と直接いろいろお話をする中で感銘を受けたこととかございます。それから橋本知事の場合は、講演会がありますと、一番最前列で最後までお聞きになっています。それから、高知県の特性なんだと思います。三重県もそうですが、有名人が来ると絶対逃さない。ただで人を使って、講演会を開かせるとか、幹部職員の研修をするという、よそ者とかいろいろな意見を大事にするという風土があります。  それから、これは田中康夫知事が本来いるべき3階の知事室ですけれども、大変有名な知事が1階フロアにおりてきたという、県民の見ているところで執務されていますよね。これが県民の待合室ですけれども、知事はここで執務されていますね。ヤッシーがおりてきたという、その翌日に撮った写真で、私はたまたま土曜日取材に「信濃毎日」に呼ばれてちょっとレクチャーに行ったもんですから、土曜日入りまして、新聞社の権威なんですよね。こういうところに入れてるというのは。知事室はこれで実際の執務室がこちらになります。  トップダウンの問題性とかいろいろございますし、飯田市の問題とかございますが、一応一たんこのぐらいで区切らせていただきまして、あと議論の場にさせていただきたいと思います。大変ざっぱくでしたが、お許しをいただきたいと思います。(拍手) ○紫垣正良 委員長  ありがとうございました。この際、暫時休憩いたします。                            午後 2時55分 休憩                          ─────────────                            午後 3時07分 再開 ○紫垣正良 委員長  休憩前に引き続き、委員会を再開いたします。  これより各委員からの参考人に対する質疑に移りますが、あらかじめ参考人に申し上げます。参考人におかれましては、委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。  それでは、委員の皆様の御発言をお願いいたします。 ○鈴木弘 副委員長  まず最初に、実はお礼も兼ねてお話をしたいと思っておりますが、きょう木佐先生、あえて参考人でございますが、先生と呼ばせていただきますが、木佐先生3,300円できょうおいでをいただいておりますが、まず委員として認識をしておかなければいけないのではないかなということで、午前中の議運でも問題提起をさせていただきまして、議運の委員皆さん趣旨を理解いただきましたけれども、平成3年からだったと思いますが、参考人制度というのができましたけれども、一つはそういう経験がなかったということもありますが、3,300円だと私だったら来ていないなというふうに思いまして、先生多分いろいろなところで講演される場合は何十万円単位で講演料というのをとられながらされていると思いますけれども、今回も恐らく、資料を見ますと、きのうつくったデータだとか、熊本市に向けていろいろな資料、パワーポイントを用意していただきましたし、テーブルの上には書籍が乗っていますので、多分書籍も買われたりとか、熊本市をよくするためにという、その思いだけでまず来ていただいたというふうに思っておりますが、委員会でちょっと提案させていただいたのは、100条委員会の被疑者的な参考人とか、利害関係人とか全くそういうものと違う立場で、学識経験者や研究者が来たときに、熊本市として何とか考えられないのかと、費用弁償等も含めて思っているわけですけれども、何かいいアドバイスがあれば、きょう来ていただくことを感謝しつつ、まずそこら辺を今後ふえていくだろうと思いますので、アドバイスがあればいただきたいというふうに思います。 ◎木佐茂男 参考人  金のことを言われましても、私も御返事しようがないので、今後はよろしく皆さん、次、参考人で呼ばれる方も被疑者扱いではない程度になさればよろしいんじゃないかと思いまして。  ただ、実は今回、正直申し上げますと、日当だけだという珍しいことを聞きましたので、私が入っている全国的なメーリングリストにちょっと意見を聞きましたら、日当の出し方ってそんなもんだと言われて、いや違うんですよ、報酬がない上でということですと言ったら、皆さん唖然とされていましたので、やはりルールとしてできていなかったということでしょうから、今後の方のためには、ぜひ議会として御一考をいただければ、それはそれでよろしいかと思います。私は満足しておりますので、お呼びいただけたので。 ○鈴木弘 副委員長  しっかり執行部も含めて、きょうは提案をしておきましたので、執行部とよく協議をしながら条例も関連していますので、いわゆる職員なんかとか、私たちが行くときの出張のときの日当みたいな扱いの3,300円になったわけですから、費用弁償という考え方もできないのか、農業委員会とか選挙管理委員会というのと一緒に議会の条例も一本でやっちゃっているということで、別な条例として考えられないのか、そこに謝金制度というものを整合性のあるものできちっとルールをつくってできないのかと、そういう角度で言っていますので執行部の方もしっかりお願いをしたいと思います。  続けてなんですが、私は実はニセコ町の方に調査に直接行かせていただきました。今ずっと説明をしていただいて、残念なことが一つありまして、当時一緒にニセコ町に視察に行った職員が、実は今回の自治基本条例を策定していただいていた市の職員の中にはたしか一人も残っていないという中で、今度の自治基本条例というものが執行部の方から出てきたんですけれども、そこで感じているのは、本当にやる気があってつくったのかなと。  せっかくいい事例を見た人がよそに出てしまっていて大丈夫なのかなと思ったんですが、それはさておいて、ニセコ町は約4,500人、熊本市が約67万人、ただ条例、ルールをつくれば動くものではないというふうに私は思っております。そういう大きな都市の中で、どういうものが求められるのか。私個人の考えでは、その地域に合ったルールというものを見出していく作業から入らなければいけないのではないかというふうに考えているわけですが、何がアドバイスがいただければということと、やはりニセコ町が先ほど90人おって15人が講師で行っている。現実には、小さな自治体ほどそういう職員たちがなかなか育たない環境の中で、ニセコ町がそういう専門的な人材が育っていると、なぜそういうふうになるのか、一般論も含めて、重要なポイントがあればということでお話しいただければと、以上2点よろしくお願いいたしたいと思います。 ◎木佐茂男 参考人  今おっしゃいましたように、条例をつくるだけではだめなので、地域に合ったルールというのはまさしくニセコ町の逢坂町長がよく使う言葉で言いますと、身の丈に合ったルールとか、身の丈に合った条例とか、身の丈に合った事業ですね。さっきの温泉なんかそうですけれども、その身の丈というのはやはりキーワードかなと思います。  熊本市は、やはり身の丈大きいですから、当然つくるときの苦労というのは、私たちが手弁当でやったものをはるかに超える作業量が要ると思います。つまり身の丈の分析がまず要るわけですよね。早い話、まず一遍人間ドックに入ってどこに疾患があるかと、あるいはどこがもう立派だからそれは残しておくかということの、区分けとか仕分けというのが要るだろうと思います。  その点で言いますと、まず熊本市でなさってきたことのいいところをきちっとリストアップする。残したいことをリストアップするという作業が要ると思いますが、もう一つそういう作業を始めるときに、やはりトップあってなんですよね。ニセコ町だって仮に逢坂という人物がいなければ全く11年前と言われる、さっき教育委員会と言いましたが、ほとんど変わらないままのニセコ町の教育委員会が全部にまだあったかもしれません。  ただ、その間にもう1人若い人が出ていたら別ですけれども、予想できなくはないわけですね。そうだとすると、私は人体解剖的な、自分たちの町が今どうなっているかということをきちっと理解するという作業の上に、やはりいい意味でのトップダウンというものがなければ、巨大自治体は動かないと思うんですね。草の根民主主義とかという、あるいは地域から声をとかと、言葉は美しいですけれども、何せこんな大きな自治体になりますと届くものではないですよね。多分職員の方の名前を首長の方が覚えられる限度というのは2、300人ぐらいではないかと私は思います。  だから、人間の能力として、やはり2、300人が限度だとすると、やはりトップの方は上から2、300人を覚えちゃうということになりかねませんよね。したがって、私は組織風土というものについて現状の熊本市がどういう状況にあるかということについて、やはりよほどしっかりとした分析をなさって、その次に何がテーマかということを考えていただきたいなというのが一番大きな問題で、それが今おっしゃった人を育てることとも実はかかわっていると思っています。きょうは余りにも、余りな画像ですからお見せをしませんでしたし、時間の関係もありましたが、この4、5年の報道されただけの熊本市の不祥事一覧の切り抜きのパワーポイント画像です。50数枚あります。  恐らく、各部局の幹部の方は、所属部局の不祥事は記憶新たかもしれませんが、他部局で起きたことについては余りお考えでないかもしれません。  私は、それぞれ土地問題とか会計、入札とか、税、料金、負担金とかというふうに部類分けをしてみますと、全分野にあるわけですよね。これがなぜ起きたかと、貴重な資料ですから、新聞社の記事ですから著作権私にはないんですけれども、まとめたら著作権あるかもしれませんが、これなんかを丁寧に分析したら何が問題かというのは僕は多少見えるのではないか。これは組織内部の問題です。  あと、もう一つ地域に合ったルールをどうつくるかという点で言うと、今回の条例案で、私が拝読して思いますのは、さっきコミュニティについての規定などがないというのは、ちょっと申し上げましたけれども、実はもう一つ大きなテーマとして今、中核市から政令市をねらう、ねらうという言葉はおかしいんですが、なりたいという希望がある。そのホットな状況の中で基本条例をつくるとすれば、中核市の中においてすら狭域分権のシステムを置くというのが、大体世界を見たら人口10万人以上のところでは、どこでもあるわけなんですね。  ですから、これだけの70万人近い人口規模のあるところでは、これは区割りの問題また次に出てくるから大変ですけれども、その地域ごとの住民自治の班というのがばらばらにならなくて、かつまとまりを持たせる、しかし地域の個性あるまちづくりを進めるためには、もう狭域自治という狭い地域の自治は避けられない世界の趨勢なんですね。  だからこそ、今回、地方自治法改正で地域審議会というようなものが設けられた。賢い自治体はさっきの伊賀市とか、それから島根県の雲南市という新設市は、合併協議の中で、今回突然出た地域審議会という総務省の用語とは全く違うことで狭域自治仕組みを考えていたんですね。  きょうは画像をお見せしませんでしたけれども、そういういずれ今の中核市ですら必要な都市内分権、その次に、政令市になったときにどういう機構、まず地理的な区分けからしてどう持つのかというイメージを持って基本条例をつくらないと、なった瞬間どうするかでは困りますので、かなり長い視点でぜひ考えていただきたいなと思います。  それから、それは地理的な問題一つですね。それから今の不祥事とか絡めますと、やはり縦割り行政というのが巨大自治体ですから、非常に今、顕著になっていますので、そこはやはり強力なリーダーシップというものを発揮していただいて、調整をとっていただかないと、今この間のさまざまな新聞報道を見る限り、計画間の不整合とか計画つくったけれども、押しつけ合いをしたまま放置しているとか、そういうものがたくさん出ているわけでありまして、やはり計画を部局ごとにつくるという場合に骨になる総合計画があれば、それを基準、それから基本条例の中に主要な計画をつくるときの計画間調整という業界用語がありますが、そういうものの手順というものが設けられることでむだが避けられるとか、二重投資が避けられるとか、そういうことについてのルールをきちっと入れていただくということが大変重要かと思います。  人を育てるということは、まさに幹部の方々の本当に志にかかっているところなんですが、やはりクロス評価というものを徹底してやっていただきたい。つまり縦、横、斜めですね。今までは上司が部下を判断する。ドイツでよく言われることわざに近い言葉で、評価する人が評価能力がなければその評価は意味がないという、これは裁判官の勤務評定でもよく言われる言葉なんですけれども、僕こっち見て言っているわけではありませんよ。きょう議員の方々に申し上げていますけれども、その評価をする能力を持った方を部下や部署の違う方がいろいろと評価をすると。私がいいなと思っていますのは、自分をプラス面で評価してほしい人を5人ぐらい選んでその人からも評価をしてもらう。上司ももちろん評価をしますが、直属の部下も評価する。だけれども、自分の気に入った人にいいことをいっぱい書いてもらう。  欧米風の人事というのは、要するにいいポイントがたくさんあった人が出世していくというタイプですから、ほとんど世界じゅうそうですよね。一流企業なんかはみんなそうです。公務員の世界もそうですから。  日本のちょっと前までの熊本市の勤務評定制度って、人をののしる言葉だけが勤務評定書にありましたよね。7割ぐらい。すぐ物を言うとか反発するとか、何かずっと人のマイナス評価だけありましたよね。あれはばば抜きの制度になっているからそうなんですよね。そういうのは今回、勤務評定制度が変わりましたので、なくなってはいますけれども、やはりいいポイントのある方が出世する仕組みをどうやってつくるか。出世というのは言葉は悪いんですが、しかるべきポストについていただくためにどうしていくかという、そしてやる気のない方はやる気のないままほうっておいていいというのが最近の私の考え方です。  今まで、私も若いものですから、昔は若かったものですから、全員同じように公務員の方は力量を上げてほしいと思っていたんですが、最近そういう発想をやめまして、自分はいい仕事をしたいとか、大きな仕事をしたいとか難しい仕事をしたいという人は自分で研修を受ければいい。そんな人が手を挙げていい仕事をやってみて、給料そんなに変わらなくてもいいんです。いい仕事ができたら自己満足するのが人間ある程度ありますので、そこで大きな給料格差をつける必要はない。例えば、イタリアの裁判官って給料みんな上から下まで一緒なんですよ。年齢給だけです。  これはいかにも日本的なんですが、それでも人間というのは名誉心がありますから、いい仕事ができれば満足しますので、そこはいい人材を選ぶ仕組みについて、さらに御一考いただければいいなと、特に、出しゃばりをどんどん登用していただきたいと思います。ニセコ町がそうですけれども、講演に出るということは、物すごい勉強しないと出れないんですよ。人前で話をするということは物すごいプレッシャーですし、勉強になりますし、皆さんが寝てしまえば自分は反省するわけですから、そういう場数をとにかく、これから若い方に皆さんがつくっていかにあげられるかと。それから市民の場に出る。当然、幹部で課長級、課長補佐級だったら全員がパワーポイント使って住民の方の前でしゃべる。これを小さな町ではどこでもやっていることですので、ここでできないわけはありません。  これが人材養成の余り金をかけない方法の一つでもあろうかと思います。お答えになっていないかもしれませんけれども。 ◆落水清弘 委員  落水です。お世話になります。きょうはありがとうございます。  先生にはちょっとお答えにくいかもしれませんし、執行部にとっては耳が痛いかもしれませんので、耳ふさいでおってもらっても構いませんけれども、率直な今回3月定例議会に上程されました本市の自治基本条例についての評価、この辺をぜひともお伺いしたいんですよ。これはもう皆さんこれを一番聞きたいと思っていると思いますし、ざっくばらんなことを言うと、今、横の下川委員が言われましたけれども、点数をつけていただけるとわかりやすいんですけれども、よろしくお願いいたします。 ◎木佐茂男 参考人  点数をつけるのは、大学の教師ですので、仕事ですけれども、こういうときはきついですね。  ただ、本当のことを言っていいですか。これ素案の段階でかなり議会に出た段階でまた変わっているのは存じ上げておりますけれども、実は条文上、「議会」と「市の執行機関等」という言葉が何回も出てきます。普通の自治体の条例は、今までずっと見ていて、「執行機関」だけを挙げてありますが、こちらは「執行機関等」ということで教育長と公営企業管理者入っていまして、これは私は悪いことではないと思っています。  特に、公営企業管理者は市長と全く同じ権利義務を対外的にお持ちですので、いわゆる三役の残りおふたかたよりも法的責任は重いですよね。住民訴訟になったら文字どおり公営企業管理者は被告で何億円という損害賠償請求に当たりますので、そういう意味で「執行機関等」と書いてあるのは、非常にまれなケースだと思いますけれども、これは立派だと思っています。
     ただ、これを見ておりますと、条文をお持ちの方は第2章4条のところで、「市議会及び市の執行機関」というふうに第2章のタイトルがなっています。ところが4条になりますと、第1号で、次は「執行機関」が先に来て「市議会」になっているんです。次7条になりますと、またひっくり返りまして、「市議会」が前に来ているんです。そして22条に行きますと、さらにまた逆転があって、今度は「執行機関」が前に来ています。そして28条第2項になりますと、最後5回目の逆転がありまして、また「市議会と市の執行機関等」になっています。これは法制執務という点で何人がごらんになったのかよくわかりませんけれども、法的意味があるんだったら後で御説明いただきたいんですが、ちょっと首をかしげるので、これがここ議案として提出されるまでにどなたがどうごらんになったのか、ちょっと私にはわかりません。何か理由があって使い分けをなさっているのかもしれませんけれども、私はちょっとわかりませんでした。  それから、個別に見ていますと、大和市じゃなくて多摩市とそっくりになっていますね。条文の数とかなども含めまして、最近はわりかし条文が多いようになってきまして、多いだけが私もいいとは思いません。ただ仕組みについて、経験が深まるに従って他の自治体をモデルにしていきますと、多少条文数がふえていくというのは私は避けられないと思いますし、ただニセコ町よりも今まで条文の多いところはほとんどありませんでしたが、今回の伊賀市などは52、3条とたしかありましたので、相当深く広い射程のものになってきています。  その点で言うと、今回の条例案は29条でしょうか、多摩市が31条だったかと思いますけれども、こちらの案でいいのは、一応私も目で言いますと、「子供」のとか「青少年」という、どこで区分けされているのかちょっとわかりませんが、「青少年」、「子供」という8条の規定などがあるのは結構かなと思いますけれども、他方で議会の規定がわずか1条であって、これは何も地方自治法に書いてある以上のことが何か書いてあるようにも見えないので、やはり議会の部分は相当手を加えて、議員の皆さんが自己拘束することにもなりますけれども、しかし、議員である以上は、これこれのことを私たちもするという趣旨で、今、随分他の自治体では、そういうことについて議論が深まっていますので、私どもがかつてつくったニセコ町の原案であれ、今度6月にニセコ町で恐らく通るであろうような案であれ、いろいろ参考にしていただいて議会についての、この1条しかないというのは、非常に問題大きいだろうなというふうに思います。  それから、今の最初の鈴木議員の御質問ともかかわるわけですが、条文ができますと、19条の組織体制というところにかかわってまいりますけれども、「効率的で機能的な組織体制を整備します」。それから第2項で「職員の養成を市政課題に的確にこたえることのできる知識と能力を持った職員の育成を図ります」とあるんですが、今の時代はやはり職員の採用のところから、もうこの時代ですので18歳、22歳で採用して定年までではなくて、公募制で一流企業で働いた人を30歳くらいである程度の数とってまぜる。大変失礼な言い方なんですが、1人2人まぜますと、必ずその人たちは自殺するとか、追い込まれていくというのが日本風土なんです。  ですから、ある程度まとまった量の方を定期的に毎年、外から新規採用分を少し減らしてでも即戦力をやはりとる。これはニセコ町がやっているもう最たる例です。人間というのは、本当にすごいと思うのは、ニセコ町の30歳ぐらいの方が第一勧業銀行800何十万円の給料をやめて400万円、当然、奥様もお子さんも反対されて、それでも来られて今、日本で有名な知名度になっているわけですよね。これはやはり仕事の中身がおもしろければ、生きがいを持ってやるわけでして、いわんや熊本市に来たからってそんなに給料下がるわけじゃないし、リストラされている銀行員の方はいっぱいいらっしゃいますから候補者には事欠かない。選ぶのに苦労されると思うんですね。そういう方をできれば入れていただくということと、それから、いわゆるペーパー試験をやめて、これは私のホームページの一番最近のコラムに書いていますが、就活にもっと力を入れると。これ今、学生の用語で就活というんです。就職活動のこと。  それを公務員の側から言いますと、採活と、採用活動と。これにもっと力を入れてほしいんです。というのは、一流企業、このあたりではJR九州とか西日本なんて人事課長が私らのゼミまで乗り込んでこられるんですよ。いい人材が欲しくて。だから、こんなの研究者残ってほしいなというのをみんなさらっていかれるんですよ。研究者になり手が今いません。困っているんです、正直言うと。だけれども、その気迫というのはすごいものでして、一流の人材をやはりとるという、多分それはマスコミもそうだと思いますけれども、とにかく手間ひまかけて人を選んでとっていきます。  ニセコの人材採用というのはすごいです。最後、書類で50人から3人ぐらいまで絞った後、一晩酒を飲ますんですよ、そこで酒癖のいいか悪いかまで見るんです。3人残すと、5人から3人ぐらいに絞る段階までは絞れるんだそうですが、その最後の際には甲乙つけがたくてもうわからんというのが明け方の結論だそうです。だから最後はもうくじみたいなところがあるんですが、やはり皆さんの言葉で言うと採用活動です。採活にもっと頑張ってほしいと。その冗談を逢坂町長に言いましたら、私はこれから補活に頑張っていきますよ。補助金獲得活動の略だったんですけれども、それはともかくとしまして、受ける側から言うと就活、とる側から言うと採活、これを再活性化していただきたいというのが本当にお願いです。それをしますと、かなり雰囲気が変わるだろうという気がいたします。  これほど他の自治体の先行事例がたくさん出てきた段階での、しかも分権などもこれほどある時点でのものですので、しかも6,500人とかいらっしゃる職員が背景にいる大自治体ですから、もうちょっと高い水準を期待していました。そのためには、市民の方々の参画を得られたということは大変重要なことで、これは外からも高く評価されると思います。問題は、その市民の方にやはり職員はプロとして徹底して情報提供しなければ無理なんです。市民の方に一からさあ、条文をつくってみなさいと、私たちは外国の例から歴史からずっと積み重ねてああいうスケルトンをつくっているわけですけれども、突然持ってきて何かゲーム感覚でつくってみてくださいでは、市役所の内情をわかっていない方が、市役所の組織の骨組みをつくろうというわけでしょう。  だから、体でいえば皮膚の一部しか触ったことのない人が内蔵までちゃんと見て、CTスキャンとかレントゲン写真をよく見た上でのものをつくらなきゃいけないというわけですから、無理だったと思うんですよね、そういう意味では。それをちょっと考えますと、他の自治体で今、杉並区とか文京区とか首都圏では多摩市とか大和市とか随分いろいろと出てきましたけれども、これは大学教師の人材も相当いるし、文京区に至っては東大教授が二人入っていますから、だから固いんだと思うんですけれども、それは別にして、もう少し期待値は高かったと思います。だから、議会を通そうという気持ちからすると60点は超さなかったんだろうなと、個人的には思います。  さっき申し上げたそういう法制執務的なちょっと不整合まで考慮しますと、50点と60点の間に行くか、見方によってはもうちょっと下がる場合もあるかもしれませんけれども、余りそういうことは。 ◆佐々木俊和 委員  今の木佐先生の方から、熊本市の基本条例の素案づくりの話が出たんでありますけれども、せんだって熊本市の幹部職員を対象とした研修会に参加をいたしまして、そのときに、東大の名誉教授の大森彌先生が講師でいらっしゃったんですけれども、その中で、先ほど例に挙がりましたけれども、長野県の飯田市では、市議会が中心になって基本条例を策定していると。3月にちょっとだめになったというお話もありましたけれども、その飯田市では、やはり議員だけで条例をつくるというのが難しいんで、議長が学識経験者や市民や議員や職員に委嘱状を出して、諮問機関をつくってからやっているという話をされました。  そのとき大森先生が、それは違法なことではなくて、本来は合議機関である議会が自治基本条例をつくることこそ民主主義の理想的な姿だというふうにおっしゃっていたんですけれども、この大森先生の意見に対して、先生がどう思われているのか、議会で条例をつくることが本当に可能なのかなというふうに思います。先ほど事例の中で四日市市の話とニセコ町の話も新たな動きもされましたので、そこら辺についてどういうふうにお考えでいらっしゃるのかお聞かせ願えればと思います。 ◎木佐茂男 参考人  今、全国的に見ますと、議会が問題だという形ではすごい議論が起きています。特に自治体職員の方も含めて、大学院に来ている人が議会をテーマに論文を書いているというのは非常に多いです、かなり相談も電子メールでいただきます。それほど注目されているんです。ですから学生の議員活動に対するインターンシップというのも福岡なんかでも随分私の教え子なんかでも行っていまして、議員活動というもの、そのものについての一つは半分は見学もあるでしょうけれども、半分は魅力、そういう生きがいみたいなものを若い人は結構感じています。  全国的に私が承知している限り、北海道の特に噴火湾沿岸の伊達市、登別市、白老町、そういうところは競って議会改革をやっている。さっきインターネット中継のことはほとんどあの地域です。  それから今そういうものが十勝市などに飛び火しています。ともかく議会はもともと地方自治法96条で条例を制定する権限があるわけで、それは首長提案のものをただイエスというだけの機能ではないはずですよね。議員立法がある。ただ、今まで議会提出案件で本当に議会がみずから出してつくったのは、定数削減条例ぐらいだと冗談ぽく言われていましたよね。自分たちの数を減らす条例、最近はそれが政治倫理条例が加わっていると。あとは費用弁償の規定だとか若干あるというのが現状ですけれども、今の四日市市だけではございませんで、最近は議員立法というのは全国的に見るとかなりふえています。それを支えているものは、かつては政務調査費だとか、それから議員の方が親睦会的に集められている議員会などの費用も普通は宴会で消えていたものが多いんですね。それから議員の研修会というと、人がどうしても議員さんが寝られるものですから、大体落語家とか漫談家を呼んで過ごすというのが多かったんです。ところが、ここ10年変わってきまして、文字どおり議員の研修会、勉強会というのを全国的にやはりすごくはやっています。  その中で、政策通の議員の方というのがふえているのも間違いありません、全く間違いありません。原点に戻れば、議会が議案を提出することは何のもちろん問題もない。なぜなら地方自治法上は、首長は出席要請があったときしか本当は来ないというふうに条文上は書いてあるんですね。ところが、なぜか議案は全部首長から提出されるものですから、首長がいないと始まらないというふうになっているんですが、少なくとも地方自治法が当初描いた姿というのは、首長がいないところで自分たちで議事を進めるという姿なんですよね。  それが、法的に直すべきかという議論はありますけれども、現行法からすれば議員提案はもっとあってしかるべきで、その議員が今は議会に図書室があり、議会事務局があると言いますけれども、これは大小さまざまですが、議会のスタッフだけが、その調査員として手足として動くという時代はもう過ぎています。  何しろ市長部局は6,000人とか、そういう巨大な職員集団であり、片や議会事務局は小さいところは2人、場合によっては1人、兼務もあります。ときどき兼務もあります総務課職員と。ですが、よくて5人とか10人、こちらで2、30人でしょう。推測しますけれども。  そういう規模で、議員の皆さんの御要望に議会事務職員が調査というレベルからお手伝いするというのは無理なんです。ですから、その局調査のお手伝いのお手伝いをされる役割に徹してもらってもいい。もちろん能力のある方はどんどん一緒にやった方がいいわけですけれども、基本的に自治法上は新たな執行機関をつくっちゃいけないというのはありますけれども、行政機関の方は、執行部側は専門委員というような形でいろいろな人間を使うことは可能です、例えば私というのはたまに専門委員になることがあります。  今度逆に、審議会でなくて専門委員というのは1人でもいいわけですから、そういう使い方があります。それから議会の方は法律上はっきり書いていないからだめだというふうに今まで理解されていたと思いますけれども、この分権改革の時代で、議会こそが立法能力を持つべきだというのが今回の分権改革の大きな趣旨でありまして、かつその議会が独自に執行部と正面対決できるような姿になることこそが合併の目的だみたいな理解があるんですね。総務省の地方自治法の発想はそうなんです。それを私は、完全標準自治体型とかフルセット型自治体というふうに言っているんです。つまり、日本の総務省の描く地方自治体というのはフルセットで何でもできる自治体でなきゃいけないというイメージがあるから、少なくとも人口1万人なんていう自治体があっちゃ困るというふうな考え方になっていっているんです。裏から言いますと、自治体である以上は執行部と正面対決できる力を持った議会像というのを総務省の地方自治法は描いているんですよ。  ということは、議会は立法能力があるということ、議案提出能力があるということ、調査能力を持たなきゃいけないというふうに論理的に行きます。だけれども、皆さんはそれぞれお仕事を持っていらっしゃるわけで、黒子を使うということが必要なんですね。そうであれば、これは議会として最初は規則でも要綱でも何でもいいと思うんですが、予算措置さえあれば、その議会としてでもいいし、会派としてでもいいし、委員会としてでもいいんですが、そういうサポートの集団を持つというのは何の問題もない。  ちょうど昔、川崎市がオンブズマンをつくったときに、就職のない大学院生の博士号を持った人をいっぱい使ったんですね。その人たちが今どんどん研究者になっていますよ。そういうこの地域にも博士課程とか修士課程にいらっしゃるような方たちを手足として、言葉としては大変申しわけないんだけれども、上品な言い方で言えばリサーチャー、あるいはリサーチャーアシスタントというような形でお願いする。それから議会の方から専任の職員の方に一定の兼務発令なり何らかの委嘱をすることが法的に絶対無理かといえばそうではないと思うんで、その辺のへ理屈を私はもう少し考えさせていただきたいと思いますけれども、それからもう一つはニセコ町型です。  やはり、自分の自治体で全部の頭脳を用意しようというのはやはり僕は間違いに近いのではないかと思っているんです。というのは、小さな自治体は、この辺でも小さな自治体はいっぱいありますね。職員そもそもが100人とか50人とか200人しかいない。そこで条例を次々つくるのがそもそも理事者側も無理なんです。だからいろいろなところの人がよってたかってニセコ町のようにサポートしてあげるというと、自分の勉強にもなり楽しみにもなり、ついでに山菜狩りに行く人もいるんですよ。ニセコなんか山の中でしょう。山菜狩りやキノコ狩りのついでに条例づくりに行くんですよ。笑い話みたいですけれども、だから熊本市で言うたら馬刺し食わしてやるから来いと言ったら来ますよ。よその自治体の方が。ちょっと参考人らしくない品の欠けた、問われそうな発言ですが、そうやって多様なとにかく意見をまぜる。  多様な発想を持ってきて、最後仕切るのは議員さんでいいですよ。議員さんがトップにだれかまたリサーチャーのトップを置けばいいわけですけれども、そういうことをアイデアをやはり出していただくことによって、御自身の忙しさとの落としどころを図っていただければ、十分対案はできる。  理事者側理事者側でもう一つ対案つくられていいと思うんです。それが入札かけるわけにはいきませんけれども、お互いいいものをつくり合う競争というものもあっていいと思いますし、どっちかが手柄というよりも市民のためにやっているわけですから、いいものになるにはどんな方法があるのかということを今後模索していただければ、間違いなくいいものができるんだろうと思います。これはちょうどいいチャンスだったかもしれません。 ◆下川寛 委員  下川と申します。大変きょうはお世話になります。とりまとめて2点お尋ねをしたいんですが、1点目は先ほど先生のお話の中にありましたニセコ町の場合、「協働」ということでちょっと失敗をされたというお話が頭にこびりついておりまして、それの意味合いをちょっと教えていただきたいということ。  2点目としましては、その表現に若干関係をするんですが、本市の条例案文をちょっとあるところで見ていただいたときに、これは議席も持たないノイジー・マイノリティの方が市政に手を突っ込む最適な表現じゃないかというような御指摘をいただいたこともあるんです。そういうことから考えますと、いかに本当の民意、サイレントマジョリティの意見をいかにくみ上げていくかというシステムをつくっていくかということが大事なんだと思うんですが、これは運用上の手法で、我々議会もそこにかかわっていく必要もあるというふうに思っておりますが、余りに民意だけで動かすというルールをつくってしまいますと、結局、今、瞬間は恐らく大多数が反対なんだけれども、将来的に行政、町の姿を考えたときにどうしても大所高所からの判断でやらねばいけないことということができなくなっていくんじゃないかという懸念を持ち合わせております。  その辺のことを民意のくみ上げ方とあわせて解決できるようなアドバイスがあったらいただけたらと思いますので、よろしくお願いします。 ◎木佐茂男 参考人  二つ大変大きな御質問をいただいたわけです。それで、「協働」という言葉、ここ3年から5年の間、条例をつくるときか計画をつくるときに「協働」という言葉さえ入れておけば議会も通るし、市民も満足するというふうな風潮が実は日本に生まれてきたんですよね。ただ、きょう現在で言いますと、ちょっとその言葉は避けた方がいいのかなというのが私なりニセコ町でかかわったメンバーの見解です。実は今、博士課程3年目の学生の指導をしていまして、その学生が専門に実はNPOと協働の議論の博士論文を書いている最中でして、そこからネコババして教員の特権として実は持ってきた原稿がございますけれども、「協働」という言葉をおつくりになったというので、何人かの先生が先陣争いをなさっておりますけれども、よく学生が調べましたところ、1968年ぐらいにバーナードという有名なアメリカの行政学者なんですけれども、チェスター・バーナードというんですが、その翻訳がダイヤモンド社から出ていて「経営者の役割」というタイトルの本なんですけれども、The・functions・of・the・executiveとなっています。  そこに、「協働の体系」という言葉がありまして、この「協働の体系」というのが日本語としては、1968年にも使われている。そのときはもちろんまだ「経営者」と書いてあるくらいですから、いわゆるコーポレート・ガバナンスに近い話です。  その後、日本では協働論が政治学や行政学で使われたのは、大体1970年代の後半からだろうということで特に76年にこれは現存なさっていますが、早稲田大学の寄本勝美という大変有名な先生、あるいは1980年に、お亡くなりになったんですが、足立忠雄という関西学院の先生とか、そのあたりから「協働」という言葉が随分出ているんです。途中は全部はしょりますけれども、例えば大森彌先生なども「協働」とおっしゃるんですが、主として市民と市民の「協働」をおっしゃるんですよ。それとほとんどの行政学者が言う「協働」は、荒木先生もそうだと思いますけれども、市民の側から行政がもっと市民に向かってほしいという意味で「協働」という言葉を使っているのが普通です。  それで、ではここでちょっと画像を一つお見せします。  こういう画像ですが、神原勝という先生がこういう本を4月に出しました。  これです。公人の友社から「自治基本条例の理論と方法」という本を出した方で、この方は北大時代に私の同僚だった先生です。この方の論文からちょっと引用しますと、一言で「協働」と言うんだけれども、英語で言うと何なんだということが実は多少問題になります。ここでパートナーシップとかフェローシップとかコーポレーションとかコラボレーションとかいっぱい書いていますけれども、特にパーティシペイションなんかもそうですが、今の我々の言っているような「協働」というのはどれかというとかなりごちゃまぜに使っているんです。  神原先生の整理だと、こういうのが39ページに書いてありまして、今まで行政がお上だったから、これからはせめて対等な立場に立ちたいという市民側からの要求ですよね。これがよく「協働」という言葉で使われるいわばもっとお上がおりてきてほしいという使い方で、比較的まっとうな方かなという気がします。  ところが、下三つになりますと、若干いろいろ問題があって、二つ目ですが、みんな仲良くと言いつつ市民活動を行政に取り込む意図があるんじゃないかとか、それから三つ目に市民から行政に、一部の市民がすり寄るのを正当化すると、これもあり得ないじゃない、それから四つ目、行政資源が乏しくなってきたので、市民にかわってもらいたいといういわゆる下請け、なぜここで笑いがとれるのかが実は問題なんですよね。今回の条例は、どこにねらいがあったのかということなんです。  ですから、この四つのヒントをきょう申し上げましたので、「あるべき協働」という言葉を仮に使うとしても、どれなんだということをやはりもう少し明確にしないとあいまいな言葉のまま「協働」と言い続けていると、何か美しいけれども、そのうちに仕事が転嫁されたりするだけになる可能性がある。だから本当の参加なくして転嫁ありみたいなことになりかねないので、これは私の言葉じゃなくて、この神原勝教授の北海道の地方自治土曜講座での講演記録ですが、そういうブックレットですので、すぐ読める本ですけれども、これを参考にしていただければ、その「協働」という意味合いもさっきのこの英語も含めて、また御自身のそれぞれ頭の中で考えていただければいいなというふうに思います。  とりあえずそういうことで1問目のところはこれにしておきまして、したがって、私が今ニセコで「協働」というものを使ったのを反省若干しているというのは、あの四つの意味のどれだったかというのをいまいち明確にしないまま章のタイトルにしたことについてのやや自己反省的な要素だとお考えいただいていいかと思います。  それから、二つ目の他方でマイノリティの意見を重視しなきゃいけないという、とりわけ例えば障害者の方とか、お子さんだとか女性だとかという問題が他方であり、それからサイレントマジョリティという一応政策に賛成しているのだからあえて言わないという人たちの声も大事であると、それの調和の取り方というのがとにかく一番難しいわけですよね。  政治家の政治家たるゆえんは、これもちょっと私は逢坂さんに染まり切っているかもしれないんですが、逢坂さんが一番よく使う言葉に「忌避政策」という言葉があります。それをやるのが首長なんだという彼は確固とした意識を持っています。その典型的にあらわれた事例が5、6年前に北海道一帯で起きた台風など、水不足か大災害だったか覚えていませんが、米がとれなくなったために農家に1俵当たり幾らの収穫減に対する補償をするというので、近隣自治体はみんなやった。ニセコでも有権者3分の2ぐらい集めて署名が来て、減反の補償をしてくれ。普通の町長さんだったらそこで応ずるわけです。だけれども、それをやったらきりがない。ほかの産業の人はどうするのかと。ペンション経営者だとか野菜経営者だとか。そこで彼は他の自治体全部やっていて自分は次落ちるという覚悟もしながら応じなかったんです。  彼は、そのことも含めて、その「忌避政策」、だれかが嫌でも避けなければいけないとってはいけない政策というものをやらなきゃいけない。それが財政の健全な運営のためにも必要だということです。  それは、まさにきょうお話をしているトップリーダーの考え方とか資質の問題とかかわってきますけれども、やはりそこで、そのときはマジョリティがもう声を出していたわけですね。だから正しい意見の方がサイレントだったわけ、どちらかというと、少数意見だった。マイノリティだったわけですが、そのマイノリティの意見を採用してでもそこは踏ん張ったわけですね。このようなケースで多くの場合は、やはりマジョリティにつきますね。  これからどんなケースが熊本市で起きるかわかりませんから、私も一般論ではなかなかお答えできないわけです。ただ、そういう決断を要して皆さん政治家として、これは市民の声としては、例えばシルバーパスなんか典型ですよね。高齢者の方の優遇パスですね。やめたら困るとおっしゃる方は圧倒的に多い。だけれども、長期的な財政運営を考えればどうなんだとか、他の小規模自治体ではそんなものはないわけです。私の田舎なんか公共交通もないわけですから、私の両親毎月5万円以上タクシー代を払っていますよ。今度合併しましたから市役所行くと5,000円タクシー代かかるんです。戻ってきたら1万円ですよ。それで障害を持った3人が暮らしています。  そういう方に全然ないのに元気な人はシルバーパスで毎日歩けると、これ実例じゃなくて例えで申し上げていますけれども、そういうもし逆転現象だったら、それは健康増進のためにいいでしょうと。だけれども、そのマイノリティであって利用できない方のことも考えればどういう落としどころがあるか、それは科学的やはりシミュレーションが要ると思うんです。数字の上だとか、物によっては化学の知識も必要でしょうし、経済学も要るでしよう。それをやはりきちっと踏まえた上で、個々の政治家の方にはいわば民意のくみ上げ方というのはすぐに投票ではだめなんです。  だから、今申し上げた化学の知識だったり統計が必要だったり、環境問題の学習があったり、それを全部尽くした上でなお議論が分かれるようであったら初めて住民投票に付していいというのがさっき申し上げた意見でございまして、だからそんなときは個別にやはり条例をつくるしかないというのがニセコ型なんです。だから何でも住民の50分の1の請求があればすぐ投票に付しましょうというのは、私は余り賢明ではない。ただし、小さな町だと50分の1すぐ集まるんですが、この自治体の規模になると実は50分の1というのは普通成立した試しがないんです。直接請求で特例市以上ぐらいの規模で成立してしかもそれが条例になったというのは多分戦後ほとんどないと記憶します。  ですから、その点は安心していいわけですけれども、住民が手弁当で、そんなマンションなど住めるわけないですから、ですが、考え方としては、住民投票条例というのは議員発案なり首長発案でもいいんですけれども、その徹底した学習というものを抜きにしては、あるいは住民世論の中への論点の浸透、それがなければやはり問題が残るというのが私個人の見解です。だから住民投票の条文については再検討なさってもいいだろうという個人的意見を持っております。 ◆上野美恵子 委員  上野です。先生のお話しの中にもあったんですけれども、私はやはり熊本市の自治基本条例の中では、住民自治の位置づけが非常に弱いというふうにずっと読みながら思っていたんですよ。これまでも委員会の中では、そういうことについてもっと深めるべきではないかという意見も何度か言ってきたんですけれども、さっきやはり挙げられた事例の中で、伊賀市なんかは、そういうことがきちんとうたわれているけれども、熊本市にはないという御指摘もございましたけれども、先生から見て、やはり熊本市の自治基本条例における住民自治の位置づけとかがどんなふうにお感じかなということと、それからそれを保障するためにどうあるべきかについてのお考えを少しお聞かせいただきたいと思います。 ◎木佐茂男 参考人  やはり熊本市は70万人という都市で、世界的に見ると巨大都市なんですね。よく私はドイツと比較しますけれども、ドイツで70万人というと州で国家というのが結構あるわけですよ、ブレーメンなどもそうですし、ハンブルクなんかもかなり巨大ではありますけれども、このぐらいな規模に近い。  そうなりますと、本当に主権国家に近いようなところがありますので、そうなると今のヨーロッパとかアメリカ、どこを見ていてもその狭域自治というものの仕組みがどこにもある。  実はこの前、去年10月、ドイツに行って内務省で報告してきたんですが、日本の狭域自治を初めて私なりに丁寧に見ましたところ、政令市なんかですと、政令市の人は今行政区がございますよね。その下に中学校区、小学校区さらにいわゆる部落会、町内会、自治会というようなレベルがありまして、5層、6層ぐらい持っている自治体というのは結構あるわけですね。それぞれにまた会議がありますね。一言で今、私たちが狭域自治と、きょうはそれで済ませましたけれども、例えばこの近くの小国町でも4層ぐらいあるんですよ。一番小さな基礎の単位までは。  ですから、そこの今再編をされようとしていますけれども、では熊本市でどうするかというと、やはり今この巨大な自治体で一方で非常に都市に集中していますね。他方で人口的には散在されているところがあって、これを区割りすると一体どういうことになるのかと。こうケーキのようにこう切った方がいいのか。そうするともう人口で割ると中央がこれほどの区域で一定の人口がたまりますよね。周辺部に行くとこんな大きな面積でやっとある程度の人口になる。だからマーブル型で切るのか、どういう区割りをするのかと、これは大変な問題が出てくると思うんです。既にあるそういう下水管だとか水道管の配置まで含めて考えなきゃいけないことになります。消防とかいろいろな公共設備ですね。  だから、私は今、熊本について答えを申し上げられるデータは持っていません。はっきり言って。何かヒントになるようなことを正確には申し上げることはできませんが、まさに政令市を想定したときには、行政区というのは絶対考えなきゃいけません。  その区割りをこれから議会でも、そして理事者側の方でも、やはり腹蔵なく意見交換をし、実際にはいずれ選挙区と絡まってくるので大変なことになるかと思いますけれども、これは一からやはり議論されないと、そのときの基本コンセプトをどうするのかということ、私はきょうは残念ながら熊本市の狭域自治のあり方の具体的ヒントというのは、実は持ち合わせておりません。  ただ、ベースになるのはこれまでにある自治会の連合会とか、あるいは中学校区などにある組織、それらをどのように評価されてあるいはそれらの特にトップの方の人事などについてどうなさるかと、この近辺でも宮原町なんかは旧自治会といわゆる情報銀行というのは違った単位で存在を実はしていますね。だから二重構造なんてということも考えないと年配の方が旧町内会を仕切っておられて、若い方や女性の方の声が余り出ないと、そっちが宮原町風に言うと情報銀行などで結構活躍されていたりするということもありまして、どこのモデルをどういうふうに勉強をまねしたらいいかとか採用したらいいかというのは、私はなかなかいい答えは持っていません。これはいずれ勉強させていただかないと、当面の答えも出てきそうにないような気がいたします。 ◆上野美恵子 委員  住民自治の理念は、条例の中にどう盛り込むかというふうな点では。 ◎木佐茂男 参考人  住民自治の理念を持ち込むというのはどうなんでしょう。やはりそれは前文とか条文の最初の方にきちっとした市民が参加できる資格とかというものを書くという、書き込むことではないでしょうか。  ただ、その点で、一つだけ最近の傾向に私は違和感を持っているものがあります。これは市民の定義の中に通学して市に入る人と、通勤で入る方も入っていて、その方たちに義務も負わせているんですよね、責務も。これはほとんどの自治体でそうなんです。最近、きょう見てきた大和市でも杉並区でも文京区でもみんなそうなっています。ニセコ町はそれをやりませんでした。  責務まで負わせるのを偶然入ってくる学生さんや起業者やらにそれを負わせられるのかというのを私たちはちょっと議論しました。私は今回の規定はその最近の流れに沿った熊本市も規定になっていますが、果たしてそういう義務規定まで置けるのかと。違反した人を処罰するのはいいんです。ごみポイ捨てした人に、これはまた別問題であって、まちづくりに参加しなさいとか、夜集会開くからあなたたちも出てきなさいというのが条文上かかってきますから、これは僕はちょっと反対なんですが、ただ最近のトレンドがそうなっていますので、ちょっと私も理論武装しないと東大の教授に抵抗するということになりますので、考えなきゃいけないと思います。 ○紫垣正良 委員長  以上で、参考人に対する質疑は終わりました。この際、参考人に対して、委員会を代表しまして、一言、謝辞を述べます。  本日は、本委員会のために格別の御協力を賜り、示唆に富んだ御意見をお述べいただきましたことに、厚く御礼申し上げます、貴重な御意見を今後の委員会の調査、審議に十分に生かしてまいりたいと存じます。  本日は、本当まことにありがとうございました。参考人には、これにて御退席いただいて結構でございます。  この際、議事の都合により暫時休憩いたします。                            午後 3時55分 休憩                          ─────────────                            午後 4時05分 再開 ○紫垣正良 委員長  休憩前に引き続き委員会を再開いたします。  次回の委員会においては、議事の都合上、調査項目の第2「本市のまちづくりへの取組みに関する調査」並びに第3「市民と行政の協働に関する調査」を一括して行うことにいたしたいと存じますが、よろしいでしょうか。          〔了 承〕 ○紫垣正良 委員長  それでは、そのようにいたしますので、執行部におかれましても、資料等についてよろしくお願いいたします。  次に、日程でございますが、7月29日金曜日、10時からということにいたしたいと存じますが、よろしゅうございますか。          〔了 承〕 ○紫垣正良 委員長  それでは、次回は7月29日金曜日、10時から開催いたします。  なお、議第39号「熊本市自治基本条例の制定について」は、次の定例会において継続審査要求をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。          (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○紫垣正良 委員長  御異議なしと認めます。  よって、そのように決定いたしました。  これをもちまして、地方自治の推進に関する調査特別委員会を終わります。                            午後 4時08分 閉会 出席説明員  〔市 長 室〕    市長室長兼秘書課長  木 村 正 博    市民協働課長   宗   良 治    広聴課長       積   壽和子  〔総 務 局〕    総務局長       原   幸代子    総務局次長兼総務部長                                   寺 本 敬 司    総務課長       今 村 修 一    行政経営課長   多 野 春 光    法制室長       西 川 公 祐  〔企画財政局〕    企画財政局長     今 長 岳 志    企画財政局次長兼企画広報部長                                   宗 村   收    企画財政局総括審議員 村 山 栄 一    財務部長     宮 崎 健 三    企画課長       高 田   晋    広報課長     原 本 靖 久    広域行政推進課長   豊 永 信 博    財政課長     續   幸 弘  〔市民生活局〕    市民生活局長     谷 口 博 通    市民生活局次長兼地域振興部長
                                      古 川 司 郎    地域振興部首席民生審議員          地域づくり推進課長磯 永 博 司               中 島 博 幸  〔健康福祉局〕    健康福祉局長     田 中 亮 子    健康福祉局次長兼健康政策部長                                   鳩 野   敬  〔環境保全局〕    環境保全局長     小 牧 幸 治    環境保全局次長兼環境保全部長                                   日 田 義 博  〔経済振興局〕    経済振興局長     岡 本 安 博    経済振興局次長兼商工振興部長                                   西 田 俊 之  〔都市整備局〕    都市整備局長     松 本 富士男    都市整備局次長兼計画部長                                   宮 崎   彰  〔建 設 局〕    建設局長       上 田 謙 一    建設局次長兼管理部長                                   加 耒 英 雄  〔消 防 局〕    消防局長       小 田 和 穂    消防局次長    古 川 泰 通  〔交 通 局〕    交通事業管理者    石 田 賢 一    交通局次長    高 野   博  〔水 道 局〕    水道事業管理者    内 藤 祐二郎    水道局総務部長  勝 山 広 美  〔教育委員会〕    教育長        永 山   博    教育次長     城   重 幸 参考人    九州大学大学院法学研究院教授               木 佐 茂 男...